会津高野山八葉寺 冬木沢詣りのブログ【公式】 -14ページ目

会津高野山八葉寺 冬木沢詣りのブログ【公式】

福島県会津地方の「会津高野山八葉寺」は、夏になると「冬木沢詣り」で賑わいます。「冬木沢詣り」は毎年8/1から8/7までの一週間。公式HPで伝えきれない、こまかい情報を中の僧侶からお届けいたします。

昔は冬木沢参りのような習俗は全国的に見られました。
しかし近代化の中、その多くは徐々に姿を消していきました。
結果、「冬木沢参り」そのものが、今では貴重な習俗となったわけです。

数年前に、「冬木沢参り」は、国(文化庁)から「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に指定されました。
そして2010年夏、NHKサービスセンターの密着取材により、約1時間のDVD映像として記録されました。

その後、TV放送の話もあったのですが、あの東日本大震災の影響で、結局放映されることはありませんでした。

それから5年後の2015年、youtubeに、文化庁のチャンネルとして、30分に編集された映像がアップされました。
以下のリンクから是非視聴してみて下さい(パソコンがオススメです)。うまくいかない場合は、まずyoutubeにアクセスして「冬木沢 文化庁」で検索してみて下さい。

https://www.youtube.com/watch?v=pvOkyCz7BIo&index=9&list=PLGpGsGZ3lmbBtzfdbwebY99rsHO0XRCNL

ちなみに2010年の冬木沢は、8/1と日曜が重なるという希有な年で、初日(8/1)の混雑が特別すごい年であったことを付け加えておきます。
常夜灯
本堂の常夜灯の和紙が破れていたため、張り替えました。
ただし「常夜灯」の文字部分は、古いものを切り抜いて再利用しています。
というのも、この「常夜灯」の三文字、
壮年でお亡くなりになられた或る僧侶の遺筆なのです。
新しく書き直すのは簡単ですが、こういうものは大切にしていきたいですね(^o^;)

今日は、遠くから研究者の方たちが見学にいらっしゃいました。
特に、本堂の中に奉納されている五輪塔の様子を窺われていました。
冬木沢の五輪塔は小型の納骨器です。
一体一体、阿弥陀様のお近くに納められます。
戦国時代から現在まで続く貴重な風習で、
この風習自体が無形文化財に指定されています。


見学の様子
見学


また「冬木沢詣り」本番に備えて、駐車場の草刈りが行われています。
広いので、なかなか簡単には終わりません。現状はこんな感じです。
しかし今日は朝から天気がいい。

一番近い駐車場
草刈した駐車場1
準備は着々と進んでいます。
故人が亡くなられて何日経てば冬木沢にお参りしていいのか?
ここではその事を明らかにするため、お参りする理由から説明いたします。

会津高野山八葉寺は、夏になると「冬木沢参り」で賑わいます。曜日に関係なく、毎年8/1~8/7の一週間と定められています。

このお詣りの目的は、お盆中(8/13~8/16)に各家庭にお帰りになるご先祖様や新しいほとけさまを、会津盆地の野辺(のべ)である冬木沢まで皆さまが迎えに行くことです。野辺とは、野の果て、あの世とこの世の境界という意味です。冬木沢の地は、会津盆地の丑寅に位置し、その延長線上には磐梯山が位置することから、古来会津の野辺と考えられてきました。

お迎えですので、お盆(8/13~8/16)より前でなくてはなりません。ですので、お盆月(8月)に入ると、亡くなった方々を冬木沢という野辺まですぐに迎えに行くわけです。「会津総菩提所」「祖霊集会の霊場」と呼ばれるゆえんです。

会津地方では必ずお参りにいくものとされていて、喪があけた新仏(四十九日忌、もしくは納骨が済んでいれば可)の遺族や近親者はもちろん、縁ある者が参拝します。一部で「百ヵ日を過ぎないとダメ」という伝承がありますが、これは土葬時代、百ヵ日を過ぎるまでは生仏(なまぼとけ)とされた名残です。現在は火葬ですので、そのようなことはございませんのでご安心下さい

以上が「冬木沢参り」をするべき理由です。みな様もぜひ冬木沢までお迎えに出向き、新仏やご先祖さまが今年もおうちまで無事にお帰りになれますよう、心からご祈念下さい。
ガイドブック

毎年6月になると、「冬木沢詣り」の準備が始まります。
お線香やお札の準備、境内・駐車場の草刈や昨年納められたお塔婆のお焚き上げなど、やることはいっぱいです。

写真は当寺のガイドブック(800円)で、平成25年の第2版です。本日在庫を確認したところ、今年は間に合いそうでした。

今後も折りをみて、祭礼本番までの準備状況を報告していきたいと思います。