前回、明智玉(細川ガラシャ)が受けた本能寺の変の影響について書きました。



前回は時系列で書きましたが、本能寺の変に関して実際思い出した順番としては、本家の人物らしき男性に「玉を殺せ」と言われたのが一番最初に脳裏に走った映像でした。  

明智玉に関連して何かを読んだ時という訳でもなく、何気ない時にフッと思い出す感覚だったと思います。

藤孝様が肩に手を置いて優しく

「其方を細川の者として守る。案ずるな。」

とおっしゃっていたところまでが一塊の情報として降ってきました。

昔の事を思い出す時と同じように。


そして、この時なぜ藤孝様のお隣にいるのが夫ではなく、興元公らしき人物だったのか不思議だったのですが、調べてみると忠興殿は本能寺の変に関する報せを受けた後激怒していたそうです。

怒りが激しくて呼ばれなかったのかも、と思っています。


前回は書いていないのですが、その後あまりの出来事に出る限りの声を上げて激しく号泣しました。

着物を身に付けていたので、子供を腕から奪われる前か直後のどちらかではないかと思います。


次に思い出したのが味戸野での事。

木の葉が落ち始める秋の事でした。

「鳥より他に訪れるものも無し。」

とぼんやりと悲しい思いで庭を眺めていました。

史実は分かりませんが、夫の訪問が減ったのが辛かったように思います。


ガラシャが自分の過去世にいるかもしれない、と感じた最初の頃に味戸野での楽しかった事が次々思い出されていたので、これは自分で少し驚きました。




暗殺未遂について思い出したのはその半年程後の事です。

彼が細川ガラシャに関して話す事を激しく嫌がり、

「過去世から離れろ!」

と言うので、私も「現世を生きる」と強く決意した直後の事でした。

歩いていると脳裏で

「玉ー!玉ー!」

と、彼の叫び声がするのです。


最初は無視していたのですが、1週間近く唐突に彼の声で「玉ー!」

と、叫ぶ声がするので、ついそちらに意識が向いてしまいました。

その瞬間、走馬灯のように夫が暗殺者と刀を交えながらも振り返り侍女が私の腕にしがみついて泣き叫ぶところが映像として一度に降ってきました。

それが前回のブログに書いた暗殺事件です。


ただ、この時は藤孝様が「案ずるな」とおっしゃっていたのに、何故私の中の玉は生きる事を諦めて茫然としているのかずっと疑問でした。


謎が解けたのは、それから更に1年近く経った頃だったと思います。

子供を腕から奪い取られ、追いすがる所を蹴られた情景が脳裏に浮かびました。

この時藤孝様に呼ばれた時と同じ赤を基調とした着物を着ていた事から、藤孝様に「案ずるな」とお声掛けしていただいた時と暗殺未遂の間の出来事であろうと考えました。

やはりあの暗殺未遂の時の、玉の心が砕け散った様子は本能寺の変以外の要因があったのかと自分の中で納得する内容でもありました。



そして、この一連の記憶を思い出す過程でもう一つ気付いた事がありました。

過去世について最も辛い出来事は、なかなか記憶の表面には浮かんで来ないのかもしれません。