先日、四谷怪談を観に行ってまいりました。
あの孤島の鬼の演出、西沢栄治さんと鯨井康介さんのタッグです。面白くないわけがなかろう、とずっとずっと楽しみにしていました。
いやはや芸術の域でしたね。
全てが美しい。美しすぎる。
写真とか絵として切り取っておきたいなぁって思うほど全編美しさのてんこ盛りでした。
なんと現代語ではなく歌舞伎調の語り口演じられていて
でもすんなりとお話が耳に入ってきて役者さんたちの並々ならぬ努力の賜物を見させていただきました。
やっぱり西沢さんの演出って西沢さんの持つ優しさが溢れてる感じがします。
全ての登場人物の心に寄り添って丁寧に作ってらっしゃるのが本当に魅力的で。
主人公・伊右衛門だって悪い男なんだけど、
女性を蹴っているところなんて、いやーー!見たくない!!!って心で叫んでたんだけど、
そうなってしまった伊右衛門の運命の悪戯みたいなものも感じるし、生きたいって気持ちがビリビリ伝わってきて人間らしくてとても憎めるやつではなかった。
すごく愛おしくて少し可哀想に感じた。
お岩さんの気持ちってこんな感じなのかな、
殺陣も格好良く、所作が美しい。この上ない色男、鯨井さん演じる伊右衛門。絶品でございました。
お岩さんも美しかったなぁ。動作のひとつひとつがとても素晴らしい。特に薬をいただくシーンの所作とか。
最後のシーンも、こんなにも伊右衛門を愛していたんだなって気持ちが伝わってきてブワッと目に熱いものが…。
伊右衛門だけじゃなくて、お岩もその妹であるお袖もみんなその時代に生まれた運命に翻弄されながらもちゃんと生きていて、私の目にとっても魅力的に映るのでした。
誰ひとり憎める人物がいないってすごいことだよね。でもそれはそういう悪の役回りの人物の人生背景・感情を事細かに表現しなくては成立しないと思う。そこまで見せてくださったこの四谷怪談。
おそろしや。
一般的には恐ろしい怪談話のイメージがとてもありますが(実際にそのイメージしか私にはなかった)
愛を貫き愛に生きた人々の切ないラブストーリーでした。
あの四谷怪談がこんな新しい形で目の前に繰り広げられてるなんて!さすが西沢マジックですね。
愛に溢れた作品へと昇華していました。
やっぱり私は西沢さんの演出が好きだなぁって再認識。
機会があるのならばお袖さん、演じてみたい。強くそう思いました。
…あのね、語りだしたらキリがないよ。
この辺にしとくね。
半年ぶりに西沢さんや鯨井さんにもお会いできたし
偶然前島さんと脚本家の石井さんもいらしていて
もちろん双生児の片割れ吉ちゃんこと平井さんも観劇していて
孤島の鬼デーなのでした。
笑顔がとまらない素敵な一日だったのです。
あぁ、こんな日を与えてくだすった神様がありがたい。
おわり