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村井の姿を見つけて、報道陣なのか野次馬なのかがぞろぞろと近づいていく。

 

その中に先ほどの不審な男も紛れ込んでいた。

 

動きが止まった村井は道場の中に入ろうとしない。

 

画面に映る村井の動きを見ていて、本当に奇妙だなと思った。

 

村井は棒立ちのまま、まるで何かを待っているように見えた。

 

 

「危ないですから、下がって。」

 

おそらくはサマナのものであろう、恐ろしく間抜けな声が響いた。

 

いったい誰が危ないというのだろうか。

 

守るべきは村井のはずなのに、部外者の身を案じてどうしようというのだ。

 

 

次の瞬間、叫び声が上がりその場は騒然となった。

 

人々は皆後ろに下がり、丸く空いた空間の中にいた襲撃者は血の付いた包丁を地面に投げ捨てた。

 

村井は驚いたように手を後ろに回し、腰のあたりに触れてから血が付いた自分の手を見て呆然としていた。

 

 

繰り返すが、これらは全て全国に生中継されていたのだ。