罠を仕掛けて待つこと暫し。
今か今かと待ち構えていたのだが、どういう訳か女は姿を現さない。
面白いものだ。
これが犯罪者が持つ独特の嗅覚というものなのだろうか。
見事に危険を回避してしまった。
日本人はお人好しだから、最初から疑うような真似はしない。
お金が無くなっても、おかしいなとは思ってもまさかと思ってしまう。
盗まれたと認識するまでのタイムラグを狙って、犯行を重ねることが出来るということなのだろう。
その後、信徒名簿に載っている情報を頼りに調べてみたが、住所も電話番号もデタラメ。
そもそも本名を名乗っていたのかも分からない。
入信時に身分証の提示を求めることはないので、確認の仕様がないのだ。
まあ、オウム相手に金をせびろうとする輩は、これだけではなかったのだが、