後半は中川が質問に答える形式になっている。
質問は全部で五つ。
質問1
地下鉄サリン事件の原料DFを保管していたのは誰か?
中川と井上の供述が異なる場合、教団内である程度の地位にいた者達の選択肢は、中川を信じるか井上を疑うか、どちらかしかない。(笑)
井上を信じるのは、末端のサマナか信徒、ようするに素人さんだけだろう。
中川は逮捕拘留されているために外の様子は分からない。
井上がDFと一緒にVXを持っていたために、VX事件の発覚を恐れて自分が持っていたことにしたというのは話に矛盾が無い。
井上がDFを持っていたと正直に話せば、オウムがVXを持っていたことが明らかになってしまうが、中川が自分でDFを持っていたことにすればVXの存在を隠すことが出来る。
まあ、結果的にこの行為は無意味だったのだが。
それにしても、ここで弁護士は鋭い指摘をしている。
それまでDCとDFを反応させてサリンを製造していたのに、DCを処分してDFだけをサリン製造のために残すのは不自然である。
この弁護士は、相当化学の勉強をしたのではないだろうか。
あの当時、松本サリン事件と地下鉄サリン事件ではサリンの製造方法が違うという事を正確に理解していた者は数が少なかったのではないかと思うが、その努力には頭が下がる。