世界のコンピュータ囲碁ソフトは、ここ数年2強時代が続いていた。
それが、日本のZenとフランスのクレイジーストーンである。
そこへ突如として、その2強をはるかに凌ぐ最強ソフト、アルファ碁が現れたのだ。
ドワンゴの川上会長は、将棋に続いて囲碁でも電王戦を開催することを計画していたが、圧倒的な強さを誇るアルファ碁の登場により、その計画は白紙に戻ってしまったと考えていた。
そんなとき、Zenの開発者である加藤から、角川を通じて支援の要請があったという。
アルファ碁を倒せるソフトを作りたい。
しかし、開発を個人でやっているために、ディープラーニングの開発環境を整えるだけの費用が無い。
ドワンゴでサーバーを用意して頂けないか。
というものだった。
これを聞いた川上は、非常に喜んだ。
アルファ碁の圧倒的な強さを見せつけられていながら、戦意を喪失することなく、戦いたいと言ってくれたからだ。
川上はすぐに動いた。
ドワンゴでのディープラーニングの開発を担当する東大研究室にその話をし、日本棋院の全面協力を取り付けた。
かくしてここに、かつては世界最強であったZenを開発したプログラマー、ドワンゴ、東大研究室、日本棋院が手を組んだ、チーム・ジャパンが誕生した。