マハラジはグルに、自分が真我であることを告げられて家に帰ったものの、本当にそれだけでいいのかと不安になりもう一度グルを訪ねる。
そのグルのもとには、毎日大勢の人たちが助言を求めにやって来ていた。
まさしくインドらしい光景と言える。
サット・サン。
グルに名前を呼ばれたものが一人ずつ部屋の中に入り、グルと話をすることが出来る。
オウムで言うところのシークレットヨーガのようなものだ。
部屋の前には大勢の人が並び、マハラジもその中にいた。
グルはその人たちを一通り見渡し、部屋の中へ入っていった。
次々に名前を呼ばれる人々。
だがマハラジの名前が呼ばれることはなかった。
とうとう、部屋の外で待つのは、マハラジひとりだけになってしまった。
そして、グルは部屋の外に出て来てしまった。
マハラジは名前を呼ばれることはなかった。
その日のサット・サンは終わったのだ。
マハラジは悲しみをこらえてグルに尋ねた。
「私には、ほんのわずかな時間さえ取っていただける価値すらないのでしょうか?」