思えば理不尽な話である。
「何をやってんだー!」
と言われても、やらかしたのは僕ではなく事故を起こしたサマナである。
おまけに、その処理にもたついているのはマルパである。
まあ、正直なところ、知らんがなって話ではある。
ヴァジラヤーナにおいて、グルが「変化身のマルパ」と言えば、それは例えそれが何であったとしても「変化身のマルパ」である。
「いわしの頭」であっても、「イヌのうんこ」であっても、「変化身のマルパ」である。
今回の件は、そこへさらにヒナヤーナの教義を当てはめても、「マルパの変化身」では意味が通じないことが分かる。
で、こういった事を電話の最中に長々と考えている余裕はない。
麻原への返答は、常に瞬間的になされなければならない。
しかも、ミスは許されない。
なので、「変化身のマルパ」には触れずに、
「肉体のマルパだと思いますが。」
と答えた。
すると、麻原は、「そうか。しっかりやれよ!」
と言って、電話が切れた。
それだけですか?
それで終わりですか?
何だったんだ、一体?
まあ、とにかく、無事に切り抜けることが出来た。(笑)
「変化身のマルパとは何ですか?」
とか聞いていたら、麻原の逆鱗に触れていた気がする。
なぜなら、グルが「変化身のマルパ」と言ったなら、それは「変化身のマルパ」以外の何物でもないからだ。
この後、サマナの間で、妙な噂が広まっていった事は間違いないようである。
変化身のマルパ・・・、
マルパの変化身・・・、
変化身のマルパ・・・、