Iさんは10メートル吹っ飛ばされた後、硬い地面に激突、全身をしたたかに打ち付けて、痛くて動けなかったらしい。
しばらくの間、地面に倒れたまま、うんうん唸っていたら、30分ほどしてようやくタクシーの運転手が近づいてきた。
そしたら、「酒臭かった。」らしい。
なるほどね、被害者が動けないのをいいことに、自分の酒が抜けるまで待ったということか。
ここでようやく警察に連絡が出来て、もちろんIさん本人は動けないので、タクシーの運転手が電話している。
まあ、その後病院へ行って、それから道場へ来たという事だった。
ここで普通なら、「大変だったねえ。」
ということになるのだが、オウムの連中はこういう時は、
「カルマが落ちてよかったねえ。」
としか、言わない。
まあ、僕も同様で、とりあえずは修行しよう、という話になるのだが、痛くて体が動かせないので、帰依マントラを唱えておきなさい。
ということで、その場は終わった。
それから数日経って、Iさんに事故処理はどうなったのか聞いてみたところ、タクシー会社は全く相手にしてくれないという。
事故を起こした本人ではなく、タクシー会社の別の人間の名刺をもらっていた。
Iさんが電話をしても、「うちは関係ない。」とか言っているらしい。
それは酷い話だなと思ったので、僕もその番号に電話してみた。
これがまた、予想通りの取り付く島もない、酷い対応だった。
なるほどね、これが渉外担当ってやつか。
タクシー会社にはよくあるという話は聞いた事があった。
さて、どうしたものか。