急所に凄まじい衝撃を受けると、痛いより先に目の前が真っ暗になり何も見えなくなるんだなあ。
と、新しい発見に驚きつつ、アーチャリーが何故こんな暴挙に及んだのかを考えていた。
突然の出来事だった。
アーチャリーはサティアンから走ってきた。
サティアンのドアが開いてから僕の姿を見たのであり、僕の姿を見てから走り出したのではない。
これは一体、どういう事なのだろうか?
それともアーチャリーは、僕の股間に一撃を食わせる気満々で、サティアンを走り抜けてきたのであろうか?
それってもしかして神通力ですか?(笑)
何が何だか、さっぱり分からない。
はっきりしているのは、目が見えなくて身体が動かない、ということだけだった。
いや、そんな事より、もう一撃加えられたら死んでしまう。
逃げなければ。
と、思ったのだが、アーチャリーの気配がない。
ドタドタドタの後に、声もなく「天誅!」
その後の走り去る足音が聞こえなかった。
アーチャリーは一体どこへ消えたのだろうか?
その頃になって、ようやく視界が正常に回復し始めた。
目の前に見えている世界の中にはアーチャリーの姿がない。
アーチャリーはどこへ?