丹とソーマは人気があった。
考えてみれば当たり前の事で、毎日オウム食を食べているのだから丹やソーマなどの嗜好品には、恐ろしく敏感になっているのだ。
まあ、五平餅に走ったり、ラーメンを食べにドライブしたりしているサマナは別なのだが。
話は変わるが、きちんと戒律を守っているサマナは、実はオウム食をがつがつ食べている。
これは当たり前の話で、それ以外の欲求を全て遮断しているので、他に行きようがないのだ。
食が細いサマナは全員がそうだというわけではないが、大抵は外で他の何かを食べている。
道場で中のワークをしているサマナは五平餅。
CBIはラーメン、車両班は弁当。
と、それぞれに得意分野を持っている。(笑)
で、買い食いをせずに真面目にオウム食だけ食べているサマナにとって、丹とかソーマというのは大変なご馳走ということになる。
かつて早川が、あの顔で、丹をビニール袋一杯食べたい、と麻原に懇願したもの同じ理由による。
そして当時、ソーマは大師用ということで、ペットボトル1本分べつに取り分けていた。
その一本が杉浦兄弟を始めとする数人分だったのだが、それと同じ量をひとりで全部飲んでいたのが佐伯である。
佐伯は大内と同じく古参幹部であり、麻原のエネルギーに敏感で、ソーマの強烈なエネルギーを感じ取っていたのだろう。
まあ、営業で外回りばかりやっているから、修行以外でエネルギーの補給をしようということなのだろうと思う。
一時期、丹とソーマの味が大変美味しくなった頃があったのだが、佐伯はあの顔でツンデレなので素直に「ありがとう。」とか「美味しい。」と言えないタイプである。
味があまり美味しくなかった頃は、何も言わずに黙ってペットボトルを持っていっていた。
それが美味しくなった途端に、こっちを怖い顔で睨みつけて、「味が違うな。」と言って去って行った。
まあ、あれが精一杯の愛情表現だったのだろう。(笑)