馬鹿でかい皿に乗せられたカレーライスが運ばれてきた。
それは麻原の目の前に置かれているのだが、実はここからが大変なのだ。
麻原は目が見えないので、カレーライスがどこにあるのかが分からない。
しかも、麻原の身体に触れてはいけないのである。
身体に触れるとエネルギー交換がなんたらかんたら、という話になるからである。
どうやって介護するんだ。(笑)
まあ、村井は慣れたものなので、麻原の右手にそおっとスプーンを乗せ、左手のクルタの袖をつかんでそおっと皿の方へと引っ張っていく。
村井がストップウォッチを片手に「始めて下さい。」の合図で、麻原が食べ始めた。
が、しかし、ペースはそれほど速くはない。
まあ、当たり前っちゃあ当たり前で、麻原はスプーンと皿は手に持っているが、馬鹿でかい皿の上のどこにカレーライスが乗っているのかが見えていない。
あさっての方向へスプーンを動かすものだから、テーブルの上にカレーが飛び散り、お髭の周りはカレーだらけという、普通に考えればかなり情けない様子になってしまっていた。
偉大なグルのこんな姿は、とてもじゃないが信徒には見せられない。
「今、どのぐらいだ?」
「半分ぐらいです。」
とか、
「もうそろそろじゃないか?」
「まだ残っています。」
とか、麻原と村井でやり取りをしているのだが、麻原の苦戦は続いている。
「もういいんじゃないか?」
という麻原の問いかけに、村井は「まだ残っています。」と答えるのだが、目が見えない人間にそんな事を言ったって、綺麗に片付けられるわけがない。
まだ筋状にカレーライスが残っていたが、麻原の「もういいだろう。」というちょっと怒ったような言い方で終了。(笑)
時間は18分ほどで、見事にクリア。
さすがは偉大なグル。
ということなのだが、普通に考えればこれは醜態ということになるのだろうと思う。
末端のサマナや信徒はそんな麻原の姿を見ることはないと思うが、麻原自身は自分の身近にいる者たちに自分のそんな姿を見せることに頓着していない。
で、グルが手本を示したので、当然のことながら弟子がその後に続くこととなる。