K正悟師がらみでの村井の話でこんなのもある。
波野村でクンダリニーヨーガの極限修行をやっているときに、K正悟師(当時はK大師)も修行者達の前で一人だけ向かい合うように座ってマハームドラーの成就のための修行をやっていた。
クンダリニーヨーガの騒がしさとは違って、とても落ち着いた雰囲気での修行だった。
そのとき麻原が別棟にいて、村井もお供でやって来ていた。
夜の事だったと思うが、村井がひとりで修行棟にやって来て、立ったままK正悟師を見ていた。
しばらくすると出て行って、また戻ってきた。
今度はK正悟師のほうを向いて正座して、じっと見ている。
そして、しばらく瞑目してから目を開けて、またじっと見ている。
何か納得したように頷いてからおもむろに立ち上がり、修行者達の方へ振り返ってこう口を開いた。
「みなさんに嬉しいお知らせがあります。」
「K大師がマハームドラーを成就されました。」
そう言うと、今度はK正悟師に向かって「K大師。マハームドラーの成就、おめでとうございます。」
そう言って拍手をした。
正直、僕も含めてみんな何が起こったのかさっぱり分からなかったと思うが、村井が拍手をしているのでとりあえず一緒になって拍手をした。
当のK正悟師は一瞬やわらいだ雰囲気になったが、すぐに元に戻り平然としていた。
当人いわく、成就を告げられる前から、すでに寂静の状態であったということだ。
こういうときの村井の立ち居振る舞いは上品とゆうかとても優雅である。
ステージが下の者達に対しても、丁寧な言葉遣いで話をする。
他人の成就を自分の事の様に喜び、そして賞賛する。
まさしく、修行者の手本と言っていいと思う。
村井はまた外へ出て行って、今度は麻原と一緒にやってきた。
麻原はやって来るとすぐに「どうだ、マンジュシュリー言った通りだっただろ。」
と言って、ご機嫌だった。
村井は、「はい、尊師の仰るとおりでした。」
と答えていたが、どうやら麻原が村井に、K大師が成就しているはずだから見て来いといったようだった。
それで村井は麻原に教わった成就認定のための条件を確認していたということのようだ。
村井にしてもK正悟師にしても、麻原の本当の高弟と言っていいと思う。
オウムに関しては幹部という言葉がたやすく使われてしまっているが、麻原の高弟と呼べるものはその数はとても少ないのだ。