オウムの教義には、これは絶対に外せないという大前提とでも言うべきものがいくつかある。
自己の救済というものは修行なしには有り得ない。
そして、他の救済というものも修行なしには有り得ない。
つまり、救済とは何らかの方法で、他人に修行をさせること、ということになる。
したがって、何もなしには救済もポアも有り得ないという事になる。
この大前提に従うものが教義であり、この大前提から外れているものが方便である。
非常に分かりやすい。
そして、もうひとつの大前提が、カルマの法則は絶対である。
というものである。
この、カルマの法則が絶対であるという考え方は、輪廻転生する限りはという条件がつく。
つまり、ニルヴァーナに入るのなら、カルマの影響は受けないということである。
その場合、残されたカルマは空性に還元され、消えていく。
逆に、ニルヴァーナに入らないのであれば、絶対にカルマの法則からは逃れられない。
前に人間界へ転生しても、三悪趣のカルマが消えるわけではないと書いたのはそういう理由による。
そして、この世界に生きて肉体が存在している間は、輪廻転生の途中でありカルマの影響を受ける。
これはシャカムニやその弟子たちの死に様を見れば理解できるだろう。
この、カルマの法則は絶対である、ということを知っていれば簡単に方便を見分けることが出来るのだが、そしてその時同時に、ある驚くべき事実を知ることになる。