麻原は目が見えないので、ひとりで歩き回ることは出来ない。
これはボツリヌスの記事のところでも書いたが、誰かの肩に手を乗せて誘導してもらうということになる。
サマナの前に出てくる時は石井の誘導が多かったように思う。
ある時、説法の最中に何かの資料を石井に取りに行かせて、帰ろうとすると石井がいないのでアーチャリーに誘導させたことがあった。
その時に麻原が言ったのが「アーチャリーは誘導が上手いねえ。」だった。
正直、噴出しそうになってしまって困った。
これはつまり、それまで石井が下手だったことを意味している。(笑)
これは泰男にいさんから聞いた話なのだが、ベンツを修理に出したか何かで、電車で移動することがあったらしい。
弟子たちが先にホームに降りてしまい、麻原は誰にも誘導されることなく、仕方がないのでひとりで電車を降りようとしたらしい。
ところが運悪く、電車とホームの間がかなり開いており、麻原の足はすっぽりその隙間に落ちてしまったということだった。
もの凄い勢いで顔面からホームのコンクリートに激突する麻原。
麻原は手を着く事もなく、壊れた人形の様に「びったーん!」という音を立てて倒れたらしい。
額と鼻の頭を赤く腫らしながら顔を上げた麻原が言った一言が、「あいったー!」
そして、のそっと起き上がって、何事もなかったかのようにすたすたと歩き出したらしい。
それを目の前で見ていた泰男にいさんは、笑いをこらえるのに必死だったらしいのだが、さすがは偉大なグルである。
怒りもしなければ、何の文句も言わない。
これって、普通の人間なら絶対お付きの者達に怒りをぶちまけてるよね。
それにしても素晴らしい。
すぽっ!
びったーん!
あいったー!
のそっ!
すたすた。
この見事なコントを、シナリオなしにアドリブでやってのけるのだから。(笑)