真理教誕生② | 法友(とも)へ

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詳しいことは知らないが、宗教法人の認証を受けるためには真理教に名前を変更しただけではダメで、活動実態やその他の用件が必要なのだろうと思う。


そのための拠点をどこに置くのかということになるのだが、それは富士山総本部道場でもなければ、世田谷の東京本部でもなく、なぜか亀戸だった。


土地と建物を取得しなければならないのだが、当然どこへ行ってもオウムだとばれたら売ってはもらえない。


そこで麻原はこの件に関する適任者を送り込むのだ。



このころ僕は出家してしばらく経った頃だった。


食事をしようと思って食堂へ行ったら、知り合いのサマナがテーブルについたまま、食事もとらずになんだかため息をついていた。


当時は法務部があったのかどうか分からないが、このサマナは信徒時代からの知り合いで、不動産の売買や登記に詳しかった。



話を聞いてみると、売買契約書を交わしに大内と一緒に亀戸へいったらしいのだが、「大師は凄い。自分は絶対あんな風にはなれない。」と言ってうなだれていた。


相手側は初めからオウムだと疑っており、最後の最後まで半信半疑だったらしい。


それで、最後に「あんた達、ほんとにオウムじゃないんだよね?」と念を押した。



それに対して大内は、驚いたように「なんですか、そりゃあ?」と答えたと言うのだ。


そのサマナは一瞬、大内が本当にオウムを知らないように見えたという。


オウムの人間がオウムを知らないはずはないのだが、サマナさえも錯覚する大内の見事な嘘。


これは上祐の理屈っぽい嘘とも井上のうさんくさい嘘とも違う、あまりにも爽やかな嘘。



まったく見事という他はない。


そして、麻原の人選もまた、見事という他がなかった。