ボツリヌス培養プラント35 | 法友(とも)へ

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このあたりの記憶はもはや曖昧になってしまっているが、翌日にはフィルターを使っての濃縮作業に入ったように思う。


培養に適した温度を保つための装置が何もない状況では、そのまま置いておくことに意味がない。



濃縮作業後に取り出されたフィルターを並べて、広瀬がうなだれていた。


見ると白いコンクリートのようなものでフィルターがガチガチに固められていた。


中にあるはずのチューブは全く見えない。



どういうことなのかと広瀬に聞くと、諦めたように説明してくれた。


ドラム缶の培養段階ではペプトンを使ったのだが、巨大タンクの段階で村井がカゼインを使うことにしたのだという。


ペプトンはサラサラの粉末状で簡単に水に溶けるのだが、カゼインは合板の接着剤に使われるものであり水には溶けない。


水を含ませれば膨潤して柔らかくなるが溶けることはない。


まあ、チーズフォンデュの水割りのような状態だと思っていただければ近いと思う。


それが逆浸透の強い圧力を加えられ、粘りのあるコンクリートの様に押し固められていた。


もちろんもうフィルターは使えないし、培養液を濃縮することも出来ない。



カゼインを使うことを広瀬は反対したのだが、村井は聞き入れなかったらしい。


カゼインはペプトンの価格の半分以下というのがその理由なのだが、バカにもほどがある。


「圧力鍋と一緒でドロドロやあ!」


と村井は言っていたらしいのだが、たしかに硬いすじ肉も圧力鍋を使えば柔らかくはなるが、決して水に溶けるようになるわけではない。


呆れてものが言えないとはまさにこのことだが、もはや今更どうしようもない。



というわけで、クイズの答えは、


本来ペプトンを使うはずだったのに、村井がカゼインを使ったから。


でした。