ボツリヌス培養プラント⑭ | 法友(とも)へ

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そう言えばこの頃、他のサマナがフィルターがどうのこうのという話しをしていたのを聞いたことがあった。


たしか逆浸透で何とかという話しだったと思う。


水だけを通す一番目の細かいフィルターを使うということだった。



僕もクロレラの分離方法を検討したときにフィルターも調べたが、クロレラならそんなに目の細かいフィルターは必要ない。


一体何を分離するつもりなのだろうと思って不思議だったが、オウムという集団は隣が何をやっているのかは分からない。



そして、お昼過ぎに、僕は食事をとるために食堂へ行った。


その当時はオウム食で、ご飯と野菜の水煮、海苔とゴマ、豆乳、調味料は醤油とシヴァ神の汗と呼ばれていた塩だけだった。


世間から見れば粗末な食事なのだが、これが美味い。


粗末な食事を毎日続けているうちに、この世にこんな美味いものがあるのかと思えるようになってくるから不思議なものだ。



厳しい戒律を守ってありつける1日1回の食事。


テレビも雑誌も何もない、何の楽しみもない環境での唯一の楽しみ。


毎日寝る暇もなく1日十数時間を働き、ようやく訪れる憩いのとき。



もうこれ以上はない幸せな時間で、箸を持ちご飯を口に入れようとしたまさにその時。


足音とともに村井の声が聞こえた。


「Rさんはいるか。」


「はい」と答えると、「車を待たせてあるから、直ぐに上九へ行ってくれ。」と言われた。



あまりに急な話でびっくりしたが、「食事が終わってからでいいですか?」と、僕にとっては当然とも思える主張をしてみた。


すると村井は火がついたように激しく怒り出した。


「君はサマナのくせに功徳が積みたないんか!」


そう言われると返す言葉がない。



一応サマナだし、一応功徳は積みたいし。


食事を一口も口にすることなく、自分の部署に荷物を取りに行くことも出来ず、着の身着のまま上九へ直行することになった。


そしてこの後に、大変なワークが待ち構えていた。