転生したのでしょうがなく 010 商人 | aitocolab ブログ 
三歳になって、少し困ったことがある。

暇なのだ。

いや、正確には自由に動けない。

王子という立場がある以上、勝手に王宮を歩き回るわけにもいかない。

人の目もある。

だから、好きに動けるのはエレナが近くにいる時くらいだ。

部屋で遊んでいるだけなら問題ない。

でも、さすがに毎日それでは飽きてくる。

そんなある日。

母のリリアのところへ、商人がやってきた。

どうやら、母が身につける物や日用品などを扱っている商会らしい。

かなり大きな商会ではあるが、王家御用達というほどではない。

第一夫人の派閥にも取り入っていないらしい。

王宮には出入りしているものの、政治的にはそれほど力を持っていない商会だった。

僕は少し考えた。

……ちょうどいい。

せっかく商人が来ているんだ。

外の話を聞いてみよう。

紹介された商会長は、エドモンドという男だった。

僕はエドモンドに色々と聞いてみた。

「商人って、どんな仕事をしてるの?」

「どんな物を売ってるの?」

「どこから買ってくるの?」

「遠いところにも行くの?」

思いついたことを、そのまま聞いていく。

エドモンドは最初、少し困った顔をしていた。

三歳の王子から、こんな質問をされるとは思っていなかったのだろう。

それに。

――こんな話をしてしまって大丈夫なのだろうか。

そんな心配もあるようだった。

「ええと……アルヴィン殿下は、こういった話がお好きなのですか?」

「うん。面白い」

僕が素直に答えると、エドモンドは少し笑った。

「では、私が知っている範囲でよろしければ」

そこからは、少しずつ話してくれた。

王都にはどんな商人がいるのか。

どんな商品が売れるのか。

商人同士はどうやって取引をするのか。

遠くの町から商品を運ぶには、どれくらい時間がかかるのか。

僕にとっては、どれも面白い話だった。

本で読むのとは違う。

実際に商売をしている人から聞くと、知らないことがたくさんあった。

そして、その中で気になる話が一つあった。

「商人ギルドには、発明した物を登録する制度もございます」

「発明?」

「はい」

エドモンドが説明してくれた。

新しい道具や技術を考えた者は、商人ギルドに登録料を払って登録することができる。

登録された発明を他人が商売に使う場合、発明者へ使用料を払う。

その権利は、発明者が死ぬまで続く。

「へぇ……」

僕は思わず身を乗り出した。

エドモンドは少し驚いたようだった。

「興味がおありですか?」

「うん」

これは……。

地球でいう著作権や
特許みたいなものだろうか。

しかも。

発明した本人が直接商売をしなくてもいい。

登録しておけば、誰かが使うたびに
使用料が入る。

僕は少し考えた。

目立ちたくはない。

王子として注目されるのも嫌だ。

でも。

お金は欲しい。

そして、できればこっそり稼ぎたい。

そこで思いついた。

……眷属にやらせればいいんじゃないか?

僕自身が発明したことにする必要はない。

眷属を作って、その眷属に発明させる。

そして、その名前で商人ギルドに登録する。

僕は表に出ない。

眷属を通して、お金だけ入ってくる。

……これ、かなりいい方法なのでは?

三歳児の僕には、まだ自由にできることが少ない。

だけど。

少しずつ外のことを知っていけば、できることも増えていくかもしれない。

そう思うと、急に外の世界が
面白く感じられた。