転生したのでしょうがなく 09 提案 | aitocolab ブログ 

そんなわけで、三歳になった

僕の日常はというと。


基本的には、三歳児としておかしくないように過ごしている。


転生者だからといって、いきなり大人みたいな行動をするのは危ない。

だから、やることは普通に遊んだり、
昼寝をしたり。

その合間に、転生したからこそできることを少しずつやっている。

例えば、本を読む。

……正確には、読んでもらう。

文字はもう読めるけど、三歳児が一人で本を
読み続けるのも変だからだ。

この世界の常識についても、エレナに色々教えてもらっている。

僕が変なことをすると、

「アル様、それは普通ではありませんよ」

と教えてくれる。

おかげで、この世界の常識と僕の感覚のズレも少しずつ分かってきた。

魔法の練習もしている。

ただし、エレナしかいない時だけ。

さすがに他の人に見られるのは避けている。

あとは昼寝。

三歳児なので、これは堂々とできる。

そして暇な時は、AR機能を使って
アニメや映画を見る。

もちろん、周りから見ればただぼーっとしているだけ。

三歳児の僕にとっては、
かなり快適な暇つぶしだった。

少し、エレナの話をしておこう。

エレナの実家は、男爵家だ。

父親は、モーリス男爵。

ただ、この男爵家。

あまり裕福ではない。

領地もそれほど大きくなく、
これといった特産品もない。

税収だけでは、領地を維持するので
精一杯らしい。

エレナから話を聞いているうちに、
僕も少し気になってきた。

そこで、エレナと色々話をした。

「だったら、まずは人を呼べる場所を作ってみたら?」

僕には、少し特殊な方法で人を用意することができる。

詳しいことは、エレナにも話していない。

その方法で、料理人を一人。

それから、D級冒険者くらいの実力を持つ三人を用意する。

料理人は、領内出身ということにする。

そしてモーリス男爵には、領内に食堂兼宿屋を作ってもらう。

最初から大きな店にする必要はない。

小さく始めて、評判を見ながら少しずつ大きくしていく。

料理が美味ければ、わざわざ立ち寄る人も増えるかもしれない。

特に街道を通る商人に利用してもらえれば、宿としても使える。

そして、そこに冒険者三人が滞在する。

食事が気に入れば、自然と常連になるだろう。

三人には、周辺の魔物を討伐してもらう。

これなら領地の安全にもなるし、モーリス男爵が討伐依頼に使っていた費用も抑えられる。

ただ、浮いたお金を全部使うつもりはない。

まずは、壊れかけている道や橋を直す。

川についても、いきなり大規模な工事をするのではなく、問題になっている場所から少しずつ手を入れる。

そうやって、少しずつ
領地を使いやすくしていく。

道が良くなれば、商人も来やすくなる。

商人が来れば、食堂や宿も利用してくれる。

物が売買されるようになれば、
領地にもお金が入ってくる。

そこで得た利益を、また領地の整備に回す。

……まあ、僕の考えはこんなものだ。

僕だって領地経営の専門家じゃない。

これで本当に上手くいくのかも分からない。

だからこそ、いきなり大きなことはしない。

まずは小さく始めて、
上手くいったら次を考える。

それなら、失敗しても大きな損にはならない。

一歳くらいの時、僕がエレナにした。

エレナは、しばらく黙って僕を見ていた。

「……アル様」

「なに?」

「やっぱり、変わった赤ちゃんですね」

「……そうかな?」

まあ、転生者だからね。