お誕生日スト
妄想二次小説
苦手な人はスルーしてね❤
……続き……
俺は慌てて彼女の家に向かっていた。
途中、スマホを見るが、
返信は無かった。
でも、既読はついてるし、
大丈夫だよな。
時計は夜11時をほんの少し過ぎたところ、
充分間に合う時間だった。
ピンポーン
エントランスの呼び出しを押す
ピンポーン……
あれ……?
--部屋--夜
長ソファで眠ってしまっている私……
……ポーン……
ピンポーン……
ハッと慌てて起きて、ドアホンに向かった。。
時計は11時過ぎ……
良かった……間に合って。。
彼が上がって来る間、
再び料理を並べた。
坂本「すっかり遅くなっちゃってごめんね」
玄関で彼を迎え、部屋に招き入れる。
何度か来たことがあるものの、
まだ少し、ぎこちない。。
彼はテーブルに並べられた料理を見ると
驚いて
坂本「これ全部作ったの!?」
とても喜んでくれた。
今まで、
たくさんのお誕生日を迎えてきた彼の、
何番目に私はいるのかな??
そんな疑問が脳裏をかすめたが、
あえて考えないことにして、
二人で長ソファに座り、
ささやかにお誕生日パーティーを開いた。
ワインをあけて、お誕生日おめでとうって言う、たったそれだけの、何でもないこと。。
私は、陶器市で買った、色鮮やかな器を、
彼にプレゼントした。
何を贈れば良いのか全く分からなくて、
と、言葉を添えて。
私とお揃いだとわかると、
彼は凄く嬉しそうに笑った。
それからケーキを出したのだけれど、、
坂本「ケーキも作ったの??」
私「美味しくできたか自信は無いけど…」
坂本「凄く美味しそうだね!?」
なんだか彼の笑顔がぎこちない気がする……
彼は一口食べると……
坂本「甘い……」
と言って、眉間にシワを寄せてしまった……
え?
ダメだった??
練習したんだけどな……
私は慌てて、自分の分を口に入れた。
ほんのりとした甘さが口に広がる……
ん?甘いかな?
それとも足りないのかな??
頭を悩ませていると、
坂本「ごめんね、言って無かったけど、俺、甘いの苦手なんだ……」
私としたことが……
私「ごめんなさい!!坂本さんが甘いの苦手って知らなくて!!ほんとごめんなさい!次は頑張るね!!」
彼は優しく首をふってくれた。
坂本「ううん、それより、、まだ、その呼び方??」
私「え?」
坂本「その、坂本さんって」
そうだった。
歳が離れているあまり、
なかなか彼の名前を呼べなかったのだ。。
私「あの、なんて、呼んだら良いかなって思って……」
坂本「下の名前なら……」
私「ま、まさ……ゆき……さん??」
アハハって彼は笑い出した。
坂本「さん付け変わってないだろ」
私「あ……じゃあ、、まさ、ゆき、昌行」
坂本「何?」
私「え……」
坂本「呼んだでしょ、だから、何?」
私「何って……」
下の名前で呼ぶのに照れてしまい、俯く私。
チク、タク、チク、タク……
沈黙が降りる。
膝の上に置かれた私の手を、
彼が取る。じんわりと伝わってくる体温。
私は隣に座る彼を見上げる。
坂本「ねぇ、もう1回呼んで、名前」
彼の鋭い目線に、目が離せなくなり、
そのままじっと見つめてしまう。
私「まさ、ゆき……昌行」
何度でも、彼の名前を呼びたいと思った。
彼は私の頭を抱えると、
そのまま唇を寄せた。
静かな室内に、
時計の音と、
二人の吐息だけが広がっていく。。
--朝--
窓から差し込む日差し、
窓辺に咲く、7月の花。
目覚ましのアラーム音。
私は慌てて飛び起きた。
隣を見ると、
既にベッドから彼の姿は無かった、
リビングに急ぐと、
美味しそうな朝ごはんが並べられていた。
エプロンをつけた彼が
坂本「おはよう。これ、借りちゃった。あと、食材も」
エプロンを指差して、
彼がはにかんだように笑う。
二人で過ごした初めての夜の余韻のせいか、
なんだか少し気恥ずかしい。
二人で朝食を食べ、
ずっとこんな日が続けば良いのにな、
と願った。
今日も東京の日差しは強い。
--玄関--
玄関で仕事に向かう彼を見送る。
今日もコンサートのリハがあるらしく、
とても忙しそうだ。
彼を見送ったら、私も仕事に行かなくちゃ。
坂本「ごめんね、もう少し、一緒にいられると良いんだけど……」
彼は申し訳なさそうに頭を掻く。
私は頭をふり、
私「ううん、もうすぐコンサート、だもんね」
坂本「うん!2年ぶりだからみんな張り切っててさぁ……」
そういって頷く彼の笑顔は最高にかっこよくて充実していた。
きっと、他のメンバーの皆さんとも、良い関係を築いているんだろうと思うと、
とても羨ましかった。
私「良いな……」
私は思わず口にしていた。
坂本「うん?コンサート、来たい?」
コンサートのことだと思われたらしい。
私「ううん、違うの!大丈夫!急に仕事が入ったりして、行けなかったら残念だから全然!私はDVDで!!」
実は既に何本かコンサートDVDを購入して、
こっそり観ていたりする……
お気に入りは……
いや、そうじゃなくて……
坂本「えっDVD??嬉しいけど、なんか、恥ずかしいな……」
彼は照れたように笑う。
坂本「じゃあ」
私「うん」
坂本「また、ね」
彼は素早く私にキスをして、
頭を撫でると、微笑み、出ていく、
閉められるドア……
チク、タク、チク、タク……
これからは、ずっと、
チク、タク、チク、タク……
彼と同じ時を刻んでいく。
チク、タク、チク、タク……
永遠に、ずっと。
--終わり--