ラブセン目指してる
苦手な人はスルーしてね❤
……続き……
--マンション前--
坂本さんに送って貰った夜。
時間は無情にも過ぎ、別れの時。
私のマンションの前までたどり着いた。
私「あ……」
寂しさが募る。
明日もまた、
彼に会えることは分かっているのに、
今日のこの、
時を逃してはいけない気がしていた。
坂本「ここ、だよね?じゃあ……」
私「あの、もう少し……一緒に……」
彼は困ったように笑い、
それから腕時計を見た。
坂本「もう遅いから……ごめんね、また……」
私は後悔した、
彼の負担になってはいけないと。
俯く私。
坂本「コラ、そんな寂しそうな顔しないの!」
彼の大きな手が、私の頭に伸び、
くしゃっと髪の毛を混ぜられた。
思わずドキッとして、髪を抑える。
彼は一瞬迷ったあと、
坂本「じゃあ、部屋の前までね」
と言って笑う。
良かった、もう少しだけ一緒にいられる……
私は安堵して、マンションに入っていった。
二人だけでエントランスをくぐり、
エレベーターに乗る。
坂本「何階?」
私「あ、5階です……」
我ながらどうしてもっと高層階に引っ越さなかったのかと、過去の自分を呪う。
静かに上昇するエレベーター。
沈黙。
チク、タク、チク、タク
時を刻む音。
彼と一緒にいられるのは、
あと、どのくらいだろう……
この仕事が終わったら、
もう、彼とは……
チン!
やがて5階に着き、エレベーターが開く、
彼が先に降り、私を通してくれる。
彼はあたりを見回すと、
坂本「ここで、良い?」
私は頷き、
私「ワガママ言ってごめんなさい。遅くなっちゃったね、ありがとう」
坂本「ううん、全然」
いつもの彼の笑顔。
私は、いつから、この笑顔に……
"また明日"
の言葉が出てこなくて沈黙してしまう。
チク、タク、チク、タク……
私「あの……」
坂本「うん?」
私「好き」
坂本「……えっ!!?」
やけに大きな彼の声に、
ハッと我に返る。
心の声が出ちゃってたらしい……
私「な、何でも無いです!ごめんなさい!また明日!!」
私は何てことを口走ったのだろうか、とりあえず聞かれなかったことにして、慌てて、その場を後に……しようとした、が、
彼に腕を取られ、、
坂本「ち、ちょっと待って、い、今」
私「気にしないでください!気のせいですから!!」
坂本「気のせいって、お、俺も好きだから」
私「えっ!!?」
恥ずかしくて見られなかったけど、やっと見上げた彼の顔は、いつもより紅い気がした。
驚いていると、ギュッと抱き締められ、
しかしその温もりは、一瞬で離れていき、
両肩を捕まれ、優しく見下ろされる。
坂本「ごめんね、いつか、ちゃんと言おうと思ってたんだけど……先に言われたから、焦っちゃって……俺も、好きだから、気のせいとか、言うなよ」
固まっている私の頭を優しく撫でると、
坂本「おやすみ」
と言って、彼は、爽やかに立ち去っていった。
呆然として動けない私。
チク、タク、チク、タク……
時計の音に我に返り、
自分の部屋へと向かった。
……続く……