【始めに】
これは、
恋人は公安刑事、東雲歩の2次創作です。
2次創作がダメな方はお戻り下さい。
なお、キャラが~、設定が~、こんなセリフ言わない~等の異論は一切受け付けておりません。
それではどうぞ♥
♥恋人は公安刑事 東雲歩 episode0~彼が公安刑事を選んだワケ①~
うららかな春の日、
東雲歩(16)は、教室の片隅で頬杖をつき、ぼんやりと窓の外を眺めていた。
歩(はぁ……新学期とかダルすぎ……自己紹介ってガキかよ……高2にもなってさ……)
高校2年の新学期、クラス替えの後の教室では、自己紹介が行われていた。
松本美優(16)の自己紹介に、思わず耳を傾ける東雲。
美優「……松本美優です、将来の夢は警察官になることです」
ハッとして美優を見る東雲。
歩(……警察官……サチと同じなんだ…)
美優は恥ずかしそうにしつつも、
明るく微笑んで挨拶を済ませると着席する。
食い入るように見つめる東雲。
歩(まぁ別に、警察官目指してる子なんてたくさんいるよな……でも、天真爛漫そうな子……警察官なんて務まるのかよ……)
サチは俺の初恋の人だ。
幼馴染みで二つ歳上の彼女に、
川で溺れている所を助けられて、
俺は恋に堕ちた。
サチが、警察官になりたいと、でも、バカだからなれるはず無いと、同級生にからかわれたと泣いてる所に、俺は遭遇して、「だったらボクがなるよ!」と宣言したのだ。
幸運にも、俺は勉強は苦じゃない所か、むしろ得意な方だった。同級生が苦戦する問題も簡単に紐解いて来た。
俺が、地元を離れて、東京の私学に編入したのだって、将来の警察官僚への道を見据えてのことだった。
今は東京の街で、
マンションで独り暮らしをしている。
煩わしいメイドや執事達がいないと思うだけで、随分、気が楽だった。
両親は俺が子供の頃から海外を飛び回っていて、会えるのは一年で1、2回……
幼少の頃の俺は殆ど婆やに育てられたようなものだった。
抗えない理不尽さ……
ぶち壊したい衝動……
だから俺は、この松本美優という女の子が、初対面の同級生達に、生徒会役員を押し付けられそうになっていた所に、思わず手を差しのべてしまったのは、そんないきさつからだろう……
---生徒会役員を引き受けた東雲と美優、共に過ごす時間が増えて、徐々に距離が近づいていくが---
歩(あ、美優ちゃんまたあのハンカチ見てる……)
綺麗に折り畳まれた、ピンク色の、ウサギの刺繍が施してあるハンカチ。
美優はほぼ毎日、事あるごとにそのハンカチを見つめ、時折、愛しそうに撫でていた。
歩(きっと大事なハンカチなんだろうな……使うというより、眺めてるみたいだし……誰かに貰ったのかな……もしかして、彼氏?とか……?)
しかしそんな事を聞けるはずもなく……
歩(まぁ、俺には関係無い事だけどね……でもなんか気になるんだよな……)
美優「……東雲君!東雲君⁉⁉」
歩「あぁ、ゴメン、何?」
美優「東雲君も、警察官目指してるんだよね」
ニコニコと笑いながら問い掛けてくる美優。
歩「うん、そうだけど……」
美優「何か、きっかけってあるの?」
歩(危ういな、この子……)
俺は、美優のキラキラした瞳から目を反らすと、
歩「俺は、別に……そんな大した事じゃ……」
歩(この子といると、なんか……自分が見透かされる感じがするな……)
歩「美優ちゃんは⁉どうなの⁉」
美優、焦って、
美優「えっ私?私は……」
♪リーンゴーン
歩「あっもうこんな時間か……そろそろ帰ろっか……遅くなったし、送るよ。美優ちゃんて、T駅だっけ?」
美優「……T駅……私、バスだから……」
途端に静かになる美優。
東雲不思議そうに。
歩「バス?美優ちゃん、M街だよね?ここからだとT駅の方が……」
美優「……」
大人しくなった美優を気にしつつ、東雲は美優をT駅へと送る。
T駅の近くまで来ると……
美優「……東雲君……やっぱり私」
美優の様子がおかしい事に気がつく東雲。
しかし美優の呼吸は荒くなり、うずくまってしまう美優。
美優「……頭が……頭が痛い……」
美優の顔から血の気が引き、意識を失ってしまう美優。
何がなんだか分からず、慌てる東雲。
美優を抱き起こそうとするが、脱力した美優を支えるだけで、手一杯。
いつの間にか、周囲には野次馬が集まって来ている。
やがて救急車のサイレンが近づき……
---続く---