2023年11月に東京都議会の文教委員会の「事務事業質疑」で、東京都教育委員会に特別支援教育についてと、インクルーシブな教育について質疑をしましたので、ご報告します!(まだ令和6年度の予算編成が発表される前の質疑でした)

 

 

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(0:17:37からです)

 

 

<龍円愛梨の質問議事録>

 

 

「心のバリアフリー」という言葉にモヤモヤします

 

私は誰もが自分らしく輝きながら参加していると実感がもてて居場所があるインクルーシブな社会の実現を目指して日々活動を続けております。

 

さて最近私は「心のバリアフリー」という言葉について真剣に考える機会を頂いたのですが、その際にどうもこの言葉にモヤモヤと違和感を感じてしまいました。

 

心のバリアフリーという啓発活動の先に、本当にインクルーシブな社会があるのだろうか?という疑問を抱きました。

 

 

「心のバリア」はなんなのか?

 

そこでそもそも「心のバリア」とは何なのかを考えてみました。

 

物理的なバリアフリーの話をするとき、その「バリア」となっている物は、段差やトイレだったりと目に見えるので分かりやすいと思います。

 

「心のバリア」とは一体何なのかと考えたときに、最初に頭に浮かんだのは「差別」とか「偏見」という言葉でした。確かに差別や偏見は無くしていくべきです。私もダウン症のある子の親として差別や偏見を経験して、それらは生きる気力を奪うほどの辛いものだと実感しています。

 

しかし、障がいのある方やその身近な人にとって「生きにくさ」を作り出している大きな要因は、時々受ける差別や偏見ではなくて、毎日のように晒される「無関心」や「無知」からきています。だから何か「ある」ものを無くすのではなくて、「ない」ものを「ある」ようにしなくてはならないので、やっぱり心のバリアフリーという言葉で、いいのだろうかと悩んでしまいました。

 

 

20年前にこの言葉を使い始めた人は「同じ社会に生きてるのに、違う世界の人として扱われる」

 

そこで今から20年以上前に日本で最初に「心のバリアフリー」という言葉を使い始めた方にお話をうかがいました。そしたらここで使われている「バリア」は、英語辞書に出ている「something that exists between one or person and another and keeps them separate」だということで、日本語にすると、人や物の間に存在していて、それらを分けるものという意味で、「心のバリア」を使い始めたのだそうです。障害のある人たちは、健常者と呼ばれる人たちと「同じ社会、同じ世界」に生きいてるはずなのに、どことなく「障害者は別の世界の人」と、無意識な認識をされていると感じたことから使い始めた言葉だったそうです

 

 

同じ社会に生きている感覚:心のバリアフリー

心のバリアフリーは、「同じ社会に生きるものとしての認識を持って、心の垣根を無くしていこう」というようなメッセージが込められていたようです。この言葉を使い始めた方は、20年以上前に言い始めたけど、社会ではまだ「心のバリアフリー」について啓発活動が行われている現状で、「なかなか変わらないなぁ」という途方に暮れるような感じがしているそうです。

 

日本の教育は心のバリアを生み出してしまっている

この「別に世界に生きいている感」は、どこから生まれるのかと考えた時に、障害のある子どもたちが「分離」された場所で教育を受けたり育っていることから生み出されているのが一番大きいだろうと思います日本の教育機関では、そういう意図がないものの、心のバリアが自ずと創り出される仕組みになっています。

 

そうやって心の中にバリアを創り出しておいてから、社会に出ると「心のバリア」を取り除いていこうと言っているのですが、それではなかなか効果がないから20年経っても状況が変わっていないのだと思います。

 

心のユニバーサルデザインを!

物理面では、バリアフリーというよりも、最初から誰もがアクセスできて利用できるように設計をするユニバーサルデザインの考え方が広がり始めています。心のほうも、最初からバリアを持たない心を育てていく、心のユニバーサルデザインが必要なのではないでしょうか?そのためには、インクルーシブな教育環境が整えられる必要があるのだと、あらためて強く感じております。インクルーシブな教育は、教育の手法というのではなくて、社会を創っていくための環境整備という側面が強いと感じております。

 

 私のダウン症のある息子は小学4年生になりました。小学校3年間は通常の学級で学び、4年生からは特別支援学校に転校したことから、都議会議員としては制度面から、保護者としては現場の目線で、東京におけるインクルーシブな教育環境を実現するために何が必要なのか日々日々、毎日のように考え続けているところです。

 

 

地域の小中学校をエンパワーする特別支援学校のセンター的機能の強化

 

 

 

 インクルーシブな教育を推進するためには、地域の公立小中学校で障がいのある子達が学べるようになることが重要なポイントです。

 

区市町村の小中学校の特別支援教育は、教員が孤軍奮闘すぎる

 

 そのための障壁はたくさんの要因がありますが、一番大きいのはスペシャルニーズのある子に対応するにあたっての「先生がたの困り感、大変さ、孤独感」だと

感じています。

 

 地域の区市町村立の小中学校教員の皆様は、都立特別支援学校の教員に比べると、専門的な知識やノウハウが限られている中で、多様なニーズのある子たちに対応するのはなかなか厳しいことです。(都立特別支援学校の教員は、「特別支援学校教諭免許」を取得するため、専門的知識が高いです。区市町村立の小中学校教員は、特別支援学級を担任していても、特別支援学校教諭免許を取得する必要がありません。)

 

そもそも東京都の区市町村立小中学校は、特別支援学級のある学校が少ないことから、特別支援学級を担当している教員の周りに、「特別支援教育」に明るい同僚や先輩も周囲に少なく、頼れるところがなく、ひとりで対応する大変さや孤独さもあります。(区市町村立小中学校だと、校長先生や副校長先生であっても、一度も特別支援学級を担任したことないまま、管理職になっていることも少なくありません。困った時に相談できる人がいない環境で、特別なニーズのある児童生徒への教育をする特別支援学級の先生方の負担感は大きいものと推測されます。)

 

 

特別支援学校のセンター的機能が、知られていない問題

 

これを解消するため、特別支援学校のセンター的機能」に期待をして、これまで文教委員会で質疑を続けてきました。

 

しかし、この「特別支援学校のセンター的機能」をそもそも知らない校長先生がいらっしゃることが、見えてきました。

 

特別支援学校のセンター的機能:

区市町村の小中学校に在籍している知的・聴覚・視覚のある児童生徒等への支援の充実をさせるため、都立特別支援学校の教員等が、区市町村立小中学校に出向いて行って、特別支援学級の運営や、通常の学級にいるスペシャルニーズのある児童生徒への教育は支援方法についてアドバイスする制度です。小中学校の校長先生、または区市町村教育委員会からの「要請」があると、特別支援学校から教員等が派遣される仕組みですので、校長先生がこの制度を知らないと、活用されにくくなってしまいます。

 

 

 

ある保護者が校長先生に対して「特別支学校のセンター的機能を利用して、(子供への支援方法について)アドバイスもらいませんか」と提案したところ、「それは何でしょうか?」と聞き返されたことがあり、お伝えしたら「すぐに申し込んでみます」というお返事を頂いたこともありました。また、私の周囲の保護者に話しても、このセンター的機能を知っている方は、ほぼ皆無です。

 

せっかく、特別支援教育の専門家を、特別支援学校から地域の学校に派遣してアドバイスをするという素晴らしい機能があるのに、それが知られていないことによって、困っている現場が利用できていないというのは、勿体無いことです。

 

センター的機能は、小中学校からの"要請"があってから支援を行うのが一般的ですが、そもそもスペシャルニーズのある子はどこの学校にもいらっしゃるのですから、特別支援学校の側から積極的に地域の学校に出向いて支援をしていくべきだと考えるが、見解を伺います。

 

<都教委答弁>

都教委では、センター的機能について、本年度(令和5年度)から3年間のモデル事業に取組。

中野特別支援学校と中野区をモデルとして、急増する発達障害を念頭に、要請がなくとも小中学校に対してアウトリーチ型で統一的に支援に伺うことにより、効果的な支援方法について検証。

 

中野区をモデル地域にして、アウトリーチ型の支援を始めたということで、これには大きな期待をしたいと思います。このことからセンター機能の認知が上がっていきますし、一度でも繋がったら、次は学校側からの要請にもつながっていくと思います。

 

合わせて、この課程を通じて、地域の学校が「困っていること」を吸い上げて、都教委の施策にも活かして欲しいです。

 

 

地域の小中学校の特別支援力UP特別支援学校と地域の学校との人事交流

 

 

地域の教員の特別支援教育力についてスキルアップのためには、特別支援学校の教員の高いスキルとノウハウを地域に伝授すること、そして、地域の教員の皆様が特別支援学校で経験を重ねることが必要だとの観点から、これまで文教委員会で、特別支援学校と地域の学校の人事交流について質疑してまいりました。(異校種間人事交流制度)

 

昨年2022年の文教委員会事務事業質疑では、異校種間人事交流制度これまでの3年間の人事交流に加えて、令和5年度からは、小中学校の特別支援学級の教員と特別支援学校の教員を1年間の期限付で相互に派遣する「短期の人事交流のモデル事業」を実施するということが示されたところでありました。

 

 

Q2. 短期人事交流のモデル事業について、現在の実施状況と、特別支援学校から小中学校に異動した先生の役割について伺います。

 

 

<東京都教育委員会答弁>

小・中学校の特別支援学級の教員と特別支援学校の教員を1年間の期限付きで相互に派遣する短期人事交流については、令和5年度、都内6区市において実施

特別支援学校から小・中学校に異動した教員は、特別支援学級の担任として児童・生徒を指導するとともに、他の特別支援学級を担任する教員へ指導法を適宜教授。校内の通常の学級に在籍する特別な支援を要する児童の指導について担任の支援を行い、交流を通じ、校内全教員の特別支援教育に係る指導力の向上を進めている。

 

6区市で実施しているということでした。この事業はとても効果を発揮してくれるだろうと感じています。しかも人事交流なので、効果が高いのに予算が追加でかからないという面もあります。ぜひもっともっと規模を拡大してほしいです。

 

これは私の希望ですが、将来的に、特別支援学校の教員の皆様のキャリアパスの中に、教員人生の中で一度は地域の学校に行くのを組み込んでほしいです。

 

ちなみに、息子のニコが(小学4年生の途中で、地域の小学校から)特別支援学校に転校したことで、特別支援学校の教員の皆様や学校内の雰囲気を日々拝見するようになりました。教員の皆様の専門性は本当にとても高いです!環境整備も完璧です。ただあまりに完璧すぎて「外の社会には、こんな完璧な環境は存在しないんだよなぁ。地域社会にどうやって戻したらいいんだろう」と漠然と感じてしまいます。

 

特別支援学校の先生方に、地域の学校で活躍していただく機会を作ることで、特別支援学校と地域を繋いでいくための新しい活路も生まれてくるんじゃないだろうかと期待いたします。

 

 

特別支援教員の孤独を解消するネットワーク

 

 

地域の学校で特別支援教育を担当している先生たちは、学校内で孤軍奮闘していたりと、孤独なことも少なくありません。

 

そこで特別支援学校を中心とした、その地域の特別支援教育に関わる先生たちのネットワークが必要ではないかという話をこれまでお伝えしてまいりました。

 

そのネットワークの中で、相談できたり、好事例を共有したり、助け合ったり励ましあったりすることで、特別支援教育コミュニティーを地域に育て、地域全体の特別支援教育対応力の向上につながっていくと考えています

 

Q. 前の質問で、センター的機能や人事交流を通じて、小中学校の特別支援教育の向上のためにそれぞれの先生が頑張ってくださっていることを伺いましたが、さらに各個人や各学校だけの取組ではなく、互いにネットワークを作って取り組んでいくことが重要だと考えますが、都教委の見解を伺います。

 

 

<都教委答弁>
小中学校の特別支援教育の充実には、センター的機能に取り組む特別支援学校間や、人事交流で特別支援学校から小中学校に配置された教員間の連携が重要。
 
今後、異校種期限付異動で特別支援学校から小中学校に配属された教員や、その地域のセンター的機能を担当する特別支援学校の教員同士が互いの取組を共有する会を実施し、ネットワークづくりに取組む

 

なんとネットワークづくりに取り組みむという答弁がありました!本当にきめ細やかで「先生たち」に着目した施策を進めておられることを知れて、大変嬉しいです。(できれば、将来的には、地域の小中学校の特別支援教育を担当する教員も含めたネットワーク化を目指したい)

 

 

 

特別支援学級のインクルーシブより日常的な共同学習と交流の推進

 

 

 

次に、都教委における「インクルーシブな教育に関する事業」についてです。

 

都教委では昨年度まで、豊島区の小学校で特別支援学級と通常級の児童が共に学ぶ実践的研究に取り組んでおりました。

 

昨年度末までに「報告書」に取りまとめて公表されました。

 

 

この報告書を、都立特別支援学校及び全区市町村の公立小中学校へ配布するとともに、各区市町村教育委員会を対象とした報告会を開催するなどする予定だと伺っておりました。

 

この報告書はオンラインでも公表されているのですが、非常に良い内容になっていると思います。特に「豊島区」の事例は、とても参考にできる好事例になったと思っております。

 

 

Q. この成果を踏まえて他の区市町村でも更に取組を進めていくため、都教委では今年度(2023年度)から新たな事業に取り組んでいると聞いているが、取組状況について伺う。

 

 

<都教委答弁>
都教委では、昨年度までの事業の成果を踏まえ、より多くの学校で「交流及び共同学習」が実施されるよう、更なる事例の収集と普及を図る事業を今年度より開始
世田谷区、北区、国立市を実施地区に指定し、これまでの事業で対象ではなかった、中学校の知的障害学級や小中学校の自閉症・情緒障害学級での交流及び共同学習に取組

 

今年度は規模を拡大して、交流や共同学習が非常に少なくなる中学校や、インクルーシブについて考える時に違う課題や配慮が必要となる自閉症・情緒障害学級での取り組みに広げているとのことですので、とても「効果的」に事業を展開しているのが見えてきました。

 

国立市教育委員会は、東京大学大学院教育学研究科と、「フルインクルーシブ教育の実現に関する連携協力協定」を締結して、本気でフルインクルーシブの模索を始めています。 こういう強力な基礎自治体との連携をしていくことも、大きな意義があると思います。

 

 

通常学級のインクルーシブ発達障害教育支援員の配置

 

 


 

アメリカのインクルーシブ教育

 

世界的な標準となっているインクルーシブ教育は、通常の学級内でのインクルーシブ教育です。

 

息子が生まれたアメリカでは、あらゆるお子さんが通常の学級で一緒に学んでいます。しかしそれが可能なのには、そもそも通常の学級が25人くらいで、クラスの中に通常の学級の担任の他に、特別支援教育の担任が一緒にいたり、専門家が支援者としてついている状況があります。スペシャルニーズのある児童生徒には、個別の学習計画が立てられているので、同じクラスの中にいるのですが、別の目標や意図を持って学習をしています。

 

 

日本ではまず通常の学級の発達障害児への支援推進

 

いずれは日本でもこんなインクルーシブな教育環境が一般的になってほしいという夢を持っておりますが、(現状では)通常の学級の先生たちだけで、これに対応するのは不可能です。しかし、日本でも発達障害のある児童生徒が増加していて、そのニーズは高まっているところです。

 

そこでまず必要なのは、通常の学級内における「支援者」の配置です。

 

Q5. 令和3年度に開始した「発達障害教育支援員・配置促進補助事業」は非常に意義があると思っておりますが、その活用状況について伺う。

 

 

<都教委答弁>
都教育委員会は、区市町村が在籍学級で発達障害のある児童・生徒を支援する発達障害教育支援員を配置する場合、その経費の一部を補助。
令和5年度は、28の区市町村から補助申請がされており、対象は11月現在で633校

 

Q.都内には約1800校の区市町村立の小中学校がありますので、1/3程度に配置されるようになったということです。短い期間に配置校がかなり増えているとは思いますが、 発達障害教育支援員制度をより広く拡充していただきたいと考えるますが、見解を伺います。

 

 

<都教委答弁>
都教育委員会は、発達障害教育支援員の補助率について、昨年度(2022年度)まで本則4分の1、特例として2分の1としていた。本年度(2023年度)から本則2分の1と改正
 
また、2023年度から、発達障害教育支援員に係る業務を担当する事務支援員を配置する場合、その人件費を上限の枠内で全額を補助。都教育委員会は、児童・生徒が在籍学級で安心して学べる環境づくりを推進。

 

補助率を改正したり、発達障害支援員にかかる業務負担をする人を配置する支援をしているとのことです。これらを通じて、さらに支援員が配置されることを願っています。

 

 

インクルーシブ教育支援員の創設を要望

 

さて、「支援員」については、息子が地域の小学校の通常学級に在籍するにあたって、もっとも苦労した点です。七転八倒、悪戦苦闘、そして最終的には打ちのめされたと認識しております。我が家の息子が、特別支援学校に転校した直接のきっかけになったのは「支援員」が配置できない問題、そして「支援員の質」の問題でした。

 

今日は時間の関係上申し上げられないのですが、前回の事務事業質疑でもお伝えしました通り、区市町村が特別支援を行うための予算的な支援の創設、そして支援をする人が「インクルーシブ」について理解を深められるような研修体制の創設を求めます。

 

⇨この要望については、令和6年度予算で「インクルーシブ教育支援員」15億円として実現することになりました。

 

 

 

 

 

通常の学級への支援時間講師の一層の活用について

 

さてインクルーシブ教育を推進する障害となっているのは、そもそも学校現場の教員不足と、教員のメンタルの問題など、そもそもの先生たちの疲弊感がくらい影を落としています。

 

学校には、正規教員のほかにも、産休や育業の代替教員、期限付任用教員、定年退職後に任用される再任用教員など、様々な任用形態の教員がいらっしゃいます。

 

その中でも、会計年度任用職員である「時間講師」は、時間単位で働くことができることから、退職後のシニア世代、育児・介護等の事情のある方、授業に特化した働き方をしたい方などにとって、働きやすい職です。

 

Q7. 時間講師は、どのような場合に任用されており、どのような仕事を担っている職なのか、まず確認のために伺います。

 

 

<都教委答弁>

時間講師は、各学校に配置した教員の授業時数が講師時数算定上の持ち時数を超える場合や、教務主任等を担当する教員の持ち時数を軽減する場合、病気休暇や初任者研修の実施に伴い後補充を行う場合などにおいて、任用している。都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例に基づき、国語や外国語などの教科の授業に、時間単位で従事している。

 

「時間講師」は、教員の持ち時数の軽減などのために任用されているとのことでした。ほかにも、退職等で欠員が生じたり、臨時的任用教員で補充できない場合にも、時間講師による補充を行うこともあると伺っています。一方、先ほどの答弁のとおり、時間講師は、条例に基づいて「教科」の授業を行うこととされております。学校においては、外国語活動や日本語指導、発達障害等のある児童・生徒に対する特別の指導等が行われているが、これらはいわゆる「教科」には当たらないため、時間講師を活用できないということになります。

 

私の地元の渋谷では「シブヤ科」という時間があって、地域のさまざまな方に教室に来てもらったり地域に出て行って渋谷について学ぶという「探究と協働」をテーマにした取り組みがあります。教育面からは未来型の良い取り組みなですが、この授業の準備を教科を担当しながら教員が進めるのは難しいため、渋谷区では独自の地域コーディネーターを学校ごとにアサインできるように支援をしていますが、それでも担当の教員には労力になっています。また教員の皆さん、全員が、地域の多様な人たちとコミュニケーションを取りながら授業を進めるのが得意というわけではないという課題もあったります。

 

Q. 教員の負担感を軽くすることと、より豊かな教育を進めるためにも、「教科」以外の授業にも時間講師を活用できるようにすることができるようになることが重要だと考えますが、見解を伺います。

 

 

<都教委答弁>
現在、学校では、新たな時代に対応するための力の育成や、児童・生徒の多様な学びのニーズに対応するため、教科の授業のほか、学習指導要領に定める外国語活動や特別の教育課程を編成して実施する日本語教育、特別支援教室における指導など、教科には位置付けられていない授業も行っている。これらの授業についても、安定的に質の高い授業を実施するためには、専門的な知見をもつ時間講師を活用することも有効である。
このため、今後、時間講師の一層の活用について、検討していく。

 

教育現場では、新たな教育内容について教員が対応しないとならないため、教員の皆様にとってはパンク状態になっている話をよく伺います。その上、スペシャルニーズのある子へも個別に対応するなんて「無理」と思われるのは、本当に致し方ないことです。

 

そのためには教員の方々が、過度な無理をする必要がなく、教育をすることに集中できて、尚且つそれを楽しめるような環境にしていく必要があります。そのためには、これまで教科しか受けもつことができなかった「時間講師」に、専門的な知見をもつ講師を活用できるようにしていくことは、非常に重要な施策だと思います。ぜひ速やかに検討を進め、しっかり推進してください。

 

 

次は、「特別支援学校の教育」についての質疑に続きます。