ひかりの輪元オウム真理教信者一同               

                      2024年6月25日

 本年6月27日をもって1994年に発生した松本サリン事件から30年目という節目を迎えるに際して、当団体「ひかりの輪」会員のうち、事件当時オウム真理教の信者だった私たち一同は、事件で犠牲になられた8名の皆様、負傷をされた600名以上の皆様、そして被害を受けられたすべての皆様に対して、当時のオウム教団に所属した者として、あらためて深くお詫びを申し上げます。

 松本サリン事件をはじめとする一連のオウム真理教事件は、私たちの反省・総括においては、「空想虚言症」「誇大自己症候群」という人格障害者であった麻原が、国家権力から攻撃されているという被害妄想に陥って引き起こした犯罪であると考えています。当団体の中には、当時松本サリン事件に直接関与した者はおりませんが、さまざまな意味で教団を支えていた道義的な責任を負っているものと考え、二度と同様の事件が起きないように、当団体では、団体発足以来、オウム事件の反省・総括を行い続け、社会に教訓を残す活動に努めてまいりました。

 その一環として、最近も、オウム事件の背景にあった仏教(特に密教)の中の殺人を肯定する一部の教義の誤りを明らかにするとともに、オウム真理教や麻原が誤った修行の結果、誇大妄想的な慢心(魔境・増上慢)を抱くようになって事件を引き起こしていった構造を再確認したうえで、依然としてオウム・麻原への信仰を続けているアレフ信者に対して、その誤りを訴えかけました。

 一方、オウム真理教から改名したアレフは、いまだに事件を反省せず、被害者の方々への賠償金の支払いを拒否し続け、支払いを逃れるためと思われる公安調査庁への資産の不報告を続けたため、昨年の3月以来、再発防止処分が適用され、寄付の受領と施設の使用が禁止されるに至り、被害者賠償がますます停滞する状況となっています。
 
 当団体としましては、アレフに対して、これまでも賠償契約を早期に履行するよう要求してきましたが、この場を借りて、アレフはもとより、特に事件当時オウム真理教信者であった方々に対しても、あらためて賠償金のお支払いを呼びかけるとともに、そのための最善の努力を続けていきたいと考えております。
 
 また、当団体の創設メンバーは、17年前の2007年にアレフを脱会・独立して以来、アレフ信者の脱会支援を行ってまいりましたが、アレフの活動を大幅に規制する昨年来の再発防止処分の適用を受け上記のような脱会支援活動をいっそう深めたいと考えております。
 
 もとより、いかなる活動をもってしても、亡くなられた方々が戻ってこられるわけでもなく、失われた時間が取り戻せるものでもない以上、とうてい償いを尽くせるものではございませんが、せめて二度と同様の事件が起きることのないよう、オウム事件の反省・総括の深化、被害者の皆様への賠償の継続、アレフ信者の脱会支援の強化等に微力ながら尽力してまいりたいと考えております。
 
 当団体ではおおむね3ヶ月ごとに慰霊行事を執り行ってまいりましたが、6月26日にも慰霊行事を執り行い、松本サリン事件に思いをはせ、以上の償いの決意を新たにさせていただく所存です。最後に、あらためて、犠牲者の皆様のご冥福をお祈りし、心身に傷を負われた方々が1日も早く癒されますよう、お祈り申し上げます。