情報量過多、しかし唯一無二過ぎた美食のゆうべ。前編。 | あいみ屋な日々。

あいみ屋な日々。

熱しやすく冷めやすい上、物欲&食欲大魔王。 常に暴走気味でたまにリリカル、そんな日常。
毎日のささやかなしあわせをちょこちょこ綴ってる…「あいみ屋な日々。」

毎度長いです、画像多めです。
お時間ある時にぜひどうぞ♡

食い道楽の私にしても、なんだかんだと美味しいイベントが盛りだくさん過ぎた、今年の5〜6月。

その、あれこれの美味しかった記憶の中でも、群を抜いて情報量の多かったお店があって…


そもそもこの日記は、私にとっての外付けハードディスクなので、備忘録はちゃんと書いときたい。

しかし、そのお店やお料理のことを書くとなると、かなりの勢いと時間の労力が必要…ということで

一気にはとても書き上げられないままはや一ヶ月!

せめて写真と説明だけでも、と合間にちょこちょこと書き溜めてはいたのだけど。


しかし、この「写真と説明だけ」がもうとんでもない長さに……汗

一皿目のご説明からもうあまりに凄すぎて、即録画に切り替えたほどの情報量過多なディナー。

そんな画像&動画を観返しながら、幸せなお味を思い出しつつの備忘録メモ。

お暇な方のみ、お付き合いいただけましたら〜🙇🏻‍♂️




新緑の5月、N美さんとマダムディナーin佐倉〈Presente Sugi〉。

この日のコースのお品書きが、こちら。



「トラフグのフラン」「杉寿司」「焼きたてパン」「鰤大根」「本日のパスタ」あたりは、

同列に並んでることに不思議感はあるけど、お料理自体は想像ができる雰囲気。


「伊勢海老の魅力」「春の香り」「Sugi畑をお皿にのせて」分かんないながらもまぁよくありそう。

しかし…


「信玄餅?!」「立方体」「サスティラ」「食べられないけど食べられそう」???


この謎に並んだメニューにプラス、その日の気まぐれとしてプラス4皿。なんと全24皿!

そしてその全てに、驚愕のペアリングドリンクが…いやーーー…ほんと凄いディナーだった。。



ランチ、ディナーとも価格は同じワンコースのみ、ディナーは18時一斉スタート。

遅刻厳禁のお食事開始だったのだけど、なんやかやあって到着は1分前、超ギリギリ💦

しかし他のお客さんもお店前の駐車場で待たされてた模様、結果オーライで胸を撫で下ろしつつ揃って入店グッド!



道路沿いのこぢんまりしたお店は、コースやペアリングの値段設定からすると思いのほかシンプル。

食べログアワードのシルバーの盾が、2023年度までの連続4年分飾られてるのを除けば、

ところどころにフィギュアやモアイ像が飾られて、ファンシーな気すらする店内。


不思議な気分でおしゃべりしてたところに、うやうやしく運ばれてきた一品目が、こちら。



えらくラブリーな、ハンドメイド感あふれる流木のディスプレイに、こ、これは…と一瞬怯んだのだけど。


お料理が始まったらそれどころではなくなり…いやむしろ、この温かみはシェフの心からのおもてなし!と

最終的には一気に全力で手のひら返しパー

シェフの繰り出す唯一無二感あふれまくるコースに、圧倒されっぱなしの3時間だった。



〈一品目 シェフからの最初の贈り物ートマトの定点観測〉


こぼれないよう一口でどうぞ、というプチトマトの飴がけ、バラの香りのローズゼラニウムと、結晶塩が

のせてある。カリッぷちゅっ、の食感の後からやってくる香りのバランスが楽しい♡


そしてペアリングのドリンクがこれまた面白くて…「発酵ブルーベリーのスパークリング」。

ブルーベリー果汁を発酵させ、コンブチャをプラスしてさらに発酵を促進。シャンパーニュのように

瓶内二次発酵させた…というスパークリングドリンク。

甘さはあまりなく、発酵の旨みと深み、華やかなシュワシュワ感…スタートに相応しいドリンク!



今回、実はペアリングドリンク、ノンアルコールを選んだN美さんと私。普段ならあり得ない選択肢!びっくり

驚天動地なセレクトのその訳は…レビューサイトで見たノンアルペアリング紹介があまりに凄かったから。。


最近はノンアルペアリングでも、ただの葡萄ジュースでなく面白い組み合わせのドリンクも増えてるけど、

このSugiのノンアルドリンクは、その種類も手の込み方も尋常ではなく…


新しいお料理とドリンクが供されるたびに、ドリンクの説明と少量のドリンクを入れた試験管を

並べてくださるのだけど。

お料理が24皿、そのほぼ全てのお料理ごとに考え抜かれたペアリングドリンクは21種類!



中にはドリンク?なものも含めて…

コース終了後、ずらりならんだこの日のペアリングドリンク21種類。壮観びっくり



〈2皿目 はちみつ+やぎ〉



その美味しさにシェフが惚れ込んだという、南房総の養蜂家さんの作るニホンミツバチのはちみつ。

その美味しさを活かすために、同じ千葉の木更津のヤギミルクをゼリーに寄せ、3滴だけオリーブオイルを

垂らした、というもの。

ヤギミルク、ものすごーーくやさしいお味でびっくり!オリーブオイルの青い香りとミルクのコクを

味わい進めると、器の底の濃いはちみつエリアに…うっとりラブラブ


そんな優しい組み合わせに合わせて出されたグリーンのドリンクは、ローリエとライチ、ジャスミン。

ローリエの清涼感、ライチとジャスミンの華やかさ…甘さを呼び、はちみつが恋しくなる素敵なマリアージュラブラブ



〈3皿目 伊勢海老の魅力〉



刺身で味わえる鮮度の千葉県産伊勢海老の、刺身では感じられないもっと味や香り、ねっとりした甘みを

味わってみたいなぁと思って作りました、というタルトレット。


オーブンで焼いてパウダーにした殻をホワイトチョコレートで生チョコに仕上げて底に隠し、

その上には、塩麹を叩きこんで2日間寝かせたという、絶妙に甘い伊勢海老の身。

海老みそを含む頭で出汁をとって煮詰め、ゼリー状のシートにして被せて仕上げる…気が遠くなりそうな仕事!


しかもここまで作り込まれてさらになお口中調理!

一口で口にして噛み砕くごとに、タルトの歯触りが変わり、底の生チョコが溶け出してソースのように…

ってもう、聴覚も味覚も情報処理が追いつかない複雑さ滝汗


そんな、伊勢海老のすごいとこ全部ぎゅっ、としたようなタルトに出されたドリンクは、

「海に近い畑で作られている白ワインをイメージ」という、まさに白ワインのような見た目の飲み物。


伊勢海老と同じ勝浦で作られた塩をベースに、レモンの皮やレモンバーム、レモングラスで柑橘の香りを、

そして華やかな香りのために、畑のエルダーフラワーの花も一緒に漬け込んで作りました、とのことで…

まさに華やかで爽やかな、海の香りがたまらない飲み心地!ミネラル感のある白ワインのよう白ワイン



〈4皿目 モクズガニとフカヒレの揚げラビオリ〉



千葉のモクズガニと銚子産フカヒレ、昨年度シェフがご自身で収穫したという佐倉のヤマドリタケを

ペーストにして、揚げラビオリに。ソースはケイパーと佐倉で採れたマスタード。

カニ漁の様子を見せるために作った網の原料はなんとヤマドリタケ、カニも夜なべしてカットしてるとか!


そんなカニのお料理に合わせられたドリンクがまたびっくり、「Sugiのまかないグリーンカレー」。

カニは身体を冷やす食べ物、そして…カレーは飲み物ですから、とシェフにっこり。

あつあつを供された、とろりとしたスパイシーなカレーは確かにギリギリ飲み物。カニにカレー、イイ!

もちろんだけどカレーとしても美味しかった♡具材ナシでもごはんにかけたくなるくらい〜照れ



〈5皿目 大人過ぎるミルクせんべい〉



お子さんからのパパお煎餅作って、のリクエストで購入したという、業務用プレス煎餅機活用の一品。

子どもの頃駄菓子屋で食べてたミルク煎餅をイメージして、でもレストラン仕様で…ということで

ブランデーで3回酒漬けを繰り返した自家製からすみを挟み、大人の駄菓子を作ってみました、とのこと。

洋酒のきいためちゃくちゃ大人なからすみ、さくさくとねっちりの食感も楽しい♡


そしてお煎餅と言えばお茶ですよね、と、ペアリングドリンクは温かいお茶。

しかしもちろん普通のお茶など出てくるはずもなく…爆笑

メヒシバ、という野草を摘んで干し、煎ってお茶にしたそう。香ばしくてふくよかなお味♡



〈6皿目 魚の火入れ〉



硬くなりがちな白身魚、中でもパサつきやすい鰆を、低温調理と薪での高温の火入れで絶妙な食感に。

バニラとライムのソース、天然のヒラタケとブラックオリーブに、添えてあるぷりっぷりの文旦が絶品!

こんな時期に文旦?!と思ったら、1月くらいに買ったのを5℃で5ヶ月保存してたものなんだそう、

まっったくやわらかくなってない実のぷちぷち感、食感も酸味も新鮮そのものでびっくり!


鰆のもつ和のイメージからか、ペアリングも和のお茶。

長期発酵緑茶のすっきりした味わいが、むしろワインより素敵照れ



〈7皿目 メニュー外・猪の赤ワイン煮込み〉


いすみ市でお願いしてるハンターの方が捕った猪を、シェフ採取のアミガサダケと赤ワイン煮込みに。

爽やかな酸味を足したくて、いちごとフランボワーズを発酵させた自家製の酢を合わせましたとのこと、

初夏らしいとっても軽やかな赤ワイン煮込み♡

付け合わせも個性に負けないように…とキクイモ。それも5%の塩で発酵させた発酵キクイモ。うまうまおねがい


そしてこれのペアリングドリンクがまた凄かった…

華やかな赤ワイン煮込みに、やはり華やかでしっかりコク深い飲み物をと考えました、と…

胡桃やオレンジなどの山の果実、ここまでは分かる。そこに、鹿のスープを合わせたドリンク!

猪ときのこの深みのある旨みに、同じジビエである鹿を合わせるセンス。もの凄いマリアージュ!

そりゃもう、このお料理のために考えられた飲み物なんだから合わないわけないけど、凄過ぎた…


いやー、こんな合わせ方味わえるの?!これはもうノンアルペアリングだからこそ!とN美さんと

しみじみ味わいながら喜びあってたのだけど…


ワインだけでなく、日本酒やリキュールなども含まれてそう?アルコールペアリングを楽しんでた

隣のテーブルのご夫婦へ、7皿目のお料理に供された7本目のお酒の説明が聞こえてきて驚愕。



思わず遠目にボトルをパシャリ。


そのワインは…シャトームートン・ロートシルト、1973。

ペアリングでそんなの出てきちゃうのーーーポーンポーンポーン



〈8皿目 信玄餅?!〉



シェフが惚れ込んだ作家さんにオーダーして作ってもらった、という器に盛られたのはフレンチトースト。

しかしコースの途中だけあって、フレンチトーストと言っても甘くない。

甘くないけど、タイトルは『信玄餅?!』。


信玄餅、と言えばきなこに黒蜜。しかしハテナつきのその訳は…


きなこに見える淡いベージュの粉は、フォアグラをテリーヌにして-40℃で急速冷凍粉砕したもの、

黒蜜に見える濃い液体は、フォアグラに合う葡萄ジュース。しかし…その葡萄ジュースをソースのように

濃厚に、しかも香り高くするためプラスして煮詰めたのは、なんと自家採取した虫のフン。えーー!!ポーン


桜毛虫、よくこの時期桜の木にいるアレは、桜の葉しか食べないので本体もフンも桜の香りがして可食、

知る人ぞ知る、NOMAなどでも使われることのある美食食材なのだとか。しかしひーーーあせる

でも、そんなこと聞いてなければなーーんにも気にならない、いや聞いても気にならないほどの美味♡


そんな濃厚なフレンチトーストに添えられたのは、デザートワインのように甘く濃厚な一杯。

そう言えばフォアグラには、ソーテルヌとかの貴腐ワイン合わせたりするもんねおねがい

マンゴーのような香りのヤマボウシの実と、千葉産の超上等なみりんの甘さ…絶妙なデザートワイン感シャンパン



〈9皿目 春の香り〉



にわとこの新芽の天ぷら、イカ、ふきのとうのマリネ、乳酸発酵のわらび。春大爆発🌿


当然というか山菜は全てシェフ自ら採集してきたもの、ふきのとうとわらびはもう少し早い時期のものを

手を掛け保存したもの、にわとこは当日の雨の朝に傘を差して採取に…頭が下がる〜〜あせる


そんな山菜のほろ苦みに呼応させたくて、とペアリングのドリンクはほのかな苦みがテーマ。


美味しい苦みを出したくて、と、まだ青い小さな松ぼっくりをそのままスロージューサーに悲鳴上げさせつつ

ぽたぽた絞り出したエキスをベースに、あちこち自生してるタケザサを煎じてプラスすることで

タンニンの飲みにくさを抑え、自家製梅シロップでほのかな甘さを加えました、と…

そんなドリンクのタイトルは『松竹梅』。名前ありきでしょコレ🤣

しかしお料理と合わさると説得力ありまくるペアリング…さすが乙女のトキメキ



〈10皿目 メニュー外・キョンのタルタル〉



千葉では最近害獣として話題になることの多いキョン、実は夏にこそ美味しくなるそうな!

契約してるハンターさんが、季節ごとに変わるキョンの味わいを知って欲しいと持ち込んで下さるらしい。


ゆっくり火入れしたやわらかなキョンを、キョンの骨のフォンドボーと一緒にタルタルに仕立てた一品。

おとなしい旨みのキョンに山の香りをプラスするため、採取したヒバの葉でオイルを作ってマヨネーズにし、

酸味と甘味は、紫キャベツから作ったエキスを麹で発酵させた甘酒のようなものと、その残渣を脱水して

作ったパウダーを添えて…

うん、意味わからないよね…これメモ起こしするのに、録音してたの4回聴き直しちゃったよ汗


そんなキョンに合わせるためのドリンク、シェフのイメージは「華やかスパイシーなチリワイン」。

パッションフルーツの霧を閉じ込めたバブルを割っていただく、セクシーな赤紫のドリンク…

ノンアルとは思えない陶酔感に、うっとりラブラブ



〈11皿目 焼きたてパン〉



その名の通り、焼きたてのキューブ型のパン🍞

焼きたてあっつあつのパンの上には、たっぷりおろしかけられた白トリュフ。なんと贅沢な乙女のトキメキ


面白かったのがペアリング!

このパンに合わせてのペアリングは、飲み物でなくころんと丸められた自家製バター。

ヨーグルトから手作りの発酵バター、あくまで立ち位置はノンアルペアリングのドリンクの一つなので

ペアリングをオーダーしてないテーブルには、供されておらずびっくり。そういうもん?!


まぁ、パン単体で味わっても充分美味しかったから成立する話なんだろうけどね

とは言えバターあった方がより幸福感はマシマシ♡美味しかった〜〜(*´艸`)



〈12皿目 鰤大根〉



とっかかりは、シェフの「クリエイティブな鰤大根を作りたいなぁ」という思いつき。


鰤大根のおいしさは、鰤の旨みをぎゅーーーっと吸い込んだ大根にこそ!ということで…

食感は生、でも鰤の旨みも香りもお味しみしみの大根を作り出したシェフの秘密兵器はガストロパック。


気圧をコントロールすることで、5℃程度でも沸騰させられる調理器具…らしい。ひゃーーーゲッソリ

おかげで、大根はコリコリカリカリ生なのに、芯まで鰤の旨みしみしみ。

鰤の切り身も煮魚とは一線を画すおいしさで、ほぼ生のような身に、文字通り皮一枚分だけ

ガリッと焼き上げられた皮…うまうまうまラブ


そしてペアリングドリンクは、飲み物としてでなく、お皿の外のソースのようなイメージにしたかった、

とのことで…なんと鰤大根につきものの、ねぎと生姜のドリンク。ねぎのドリンク?!

自家製ジンジャーエールをベースに、上手にねぎの香りが合わせてあって、なんの違和感もない美味しさ♡

まさに鰤と大根とドリンク、揃えて味わってこその口の中の快楽。マリアージュをこの上なく体感お願い

鰤大根のために作りました、に激しく納得



……ここで折り返し。ようやく半分!

こんな感じの、熱量も情報量もとんでもないお料理が、この後もさらに延々と12品続くのだけど……



うーーーん…一気に載せちゃうつもりで書いてたんだけど、ここから倍…いやさすがに長過ぎる汗汗

うん、今回はここまでにしよう。一回のディナーレポが前後編になるというまさかの事態びっくり


ここまでの12皿に、合間合間にちまちま書き溜めてほぼ1ヶ月。

まぁ、5〜6月は保存食祭りでもあって、あまり詰めて書けなかったのもあるから、さすがにもう少し

後編は早めに書ける…かな?



ここまで、ディナー半分のお付き合いありがとうございます♡

続きは…気長ーーに、乞うご期待😁