はがれ落ちない心 | シンシアリー * 心のままに

シンシアリー * 心のままに

何気ない日常です。

私は、ここにいます。


後日、その記者の人と話をした。



Tさんが、ある罪を犯していて、

それが、とある組織の資金源になって

いるという事、そこを調査している

うちに、若社長の名前が出てきて、

そこの経理をやっている私なら、

事情を知っているのではないか、と。



聞き込みと言うか、まぁ、その中で、

桜香さんのお名前も上がってきて、

桜香さんにはご家庭もありますし、

極力迷惑をかけない方向で、証言して

欲しいんですよね。

もちろん、守秘義務は厳守しますよ。



向かい合ったコーヒーショップで、

私は、その人の目をじっと見た。



この人は、何が知りたいのだろう?



T社長をどうしたいんですか?

逮捕? 

告発? 

週刊誌のネタ?

残念ながら、 私がお話し出来る事は

何一つありません。

ただ私は、T社長の不正の証拠を

掴んだのなら、揉み消しますよ。

週刊誌に、ネタを売ったりするつもり

は、ないんです。



言葉にしてから、はっと気づいた。



私は、Tさんや若社長の不正を黙認

してきた。



Tさんは、そんな私を味方につける事

で、保身をしてきたのではないか。



私が感じていた、温かく心地良い感情

の全ては、最初から計算されていたの

ではないか。



Tさんとの想い出に縛られて、

いつまでも夢を見ていたい私の心


その裏で、いつも心の何処かで感じて

いた違和感や不安。



心の声に耳を傾ける。


静かに冷静に………



暗闇に浮かびあがる私の心は、

傷だらけだった。


かさぶたのように折り重なった

モヤモしたものを、ベリっと

剥がす。


その下にはまだ何層も何層も重なり

あったものがあり、 なかなか

剥がれる事はなかった。


最後に、赤い傷口を見た時、

ようやく私はほっとして、



涙をハラハラ流し、



このままでは死んでしまう!

苦しい!

悲しい!

助けて欲しい!

立ち直りたい!



そう、ひたすら願った。