こんにちは、値上げの専門家(中小企業診断士)の伊丹芳則です。
◆『痛みを避けて、快楽を得る』
これは、心理学者のフロイドが唱えた有名な言葉で、本能的に人が行動する原理を言っています。
無意識レベルの行動なので、操れると言うわけです。
但し、同じ行動でも、その人の解釈や思い込みにより、『何が痛みで、何が快楽なのか?』が変わります。
良く使われる事例が、『タバコを吸う』です。
例えば、『タバコを吸う』と気分が落ち着くと思う人には、タバコは『快楽』となります。
ところが、『タバコを吸う』時の煙が健康を害すると思う人には、タバコは『痛み』となるのです。
どうでしょうか?
では、『痛み』と『快楽』のどちらが強いのでしょうか?
それは、ズバリ『痛み』です。
これは、多くの場所で禁煙エリアが広がっていることからも分かります。
この『痛み』と『快楽』を上手に操ることで、お客さんに商品を売ることができるのです。
例えば、現状のままで、何も行動しようとしないお客さんがいたとします。
このお客さんは、現状に、何となくの『快楽』を感じているのです。
逆に言えば、何となくの『快楽』を感じている現状を変えることに、『痛み』を感じます。
だから、『痛みを避けて、快楽を得る』ようになるので、現状のまま、何も行動しません。
このようなお客さんを行動させるには、現状に『痛み』を感じさせ、変わることで『快楽』を感じるようにすればいいのです。
そうすると、もう現状のままではいられなくなります。
では、どうのようにすれば、現状に『痛み』を感じてもらえるのでしょうか?
簡単な方法を1つ紹介すると、
例えば、社長さんに次のように問い掛けたとします。
◆『今、一番イヤと感じることは、何ですか?』
例えば、この答えが、『スタッフさんが、すぐに辞めてしまうこと』だったとします。
自分自身の口でハッキリと、このように言葉に出してしまうと、『今まで、ただ何となくイヤ!』で済ませていたことが、問題点になるのです。
そうすると、現状に疑問を持ち出します。
そして、『どうして、すぐに辞めてしまうのだろうか?』と、初めてその原因を探そうとするのです。
この時、『実は、今の自分の解釈や思い込みに原因があった』と納得させれば、自分の勘違いに気付きます。
そうなると、現状の疑問が『痛み』に変わり出すのです。
もしも、この『痛み』を避けるための商品が近くにあったとなれば、『快楽』を得るためにその商品を買いたくなります。
非常に簡単な説明ですが、これが『痛みを避けて、快楽を得る』原理を操って、人を行動させるやり方です。
しかし、この順番が逆になれば、上手くいきません。
つまり、先に『快楽』を与えてしまう場合です。
例えば、良くなる方法を詳しく聞くと、『何となくスッキリした気分になる』、『良いやり方が聞けたので、もう解決したように思ってしまう』など
これも『快楽』を与えてしまったことになるのです。
これでは、商品を買う前に、『快楽』を得てしまうので、商品を買う理由が無くなってしまうでしょう。
このように、例え原理を知っていても、その使い方を間違ってしまうと、違う結果になってしまいます。
しかし、しっかり理解して、繰り返し実践すると、力強いやり方になるはずです。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
伊丹芳則