こんにちは、値上げの専門家(中小企業診断士)の伊丹芳則です。
『なぜ、お客さんはお店に来るのか?』
『なぜ、お客さんはお店に来ないのか?』
について、ちょっと考えてみたいと思います。
お客さんがどちらかを判断する時、『お客さんの感情』が大きく影響しているのです。
『イイ感情』が影響する場合もありますが、それよりも『イヤな感情』の影響の方が大きいと考えます。
つまり、『何かがイヤだから、お店に来たり、来なかったりする』のです。
では、お客さんは、何がイヤなのでしょうか?
これを、『イヤ度』×『体験率』で考えてみます。
『イヤ度』とは、その内容に、どれだけ『イヤな感情』を持つかです。
『体験率』とは、それを体験する可能性を示します。
<例えば>
クリーニング店さんで、考えてみますね。
まず、
◆(A)『クリーニングすると、何がイヤなのか?』
これは、比較的簡単に分かります。
それは、ズバリ、『お金を払うことがイヤ!』なのです。
この時の『イヤ度』を、仮に10点満点で『3点』だったとしましょう。
クリーニングしてお金を払う可能性の『体験率』は、『100%』になります。
つまり、『イヤ度3点』×『体験率100%』で、『イヤな感情3点』です。
次に、
◆(B)『クリーニングしないと、何がイヤなのか?』
これは、お客さんによって様々です。
一例をあげて、『イヤ度』を仮につけると、
(1)『また着れなくなるのがイヤ!4点』
(2)『長持ちしないのがイヤ!5点』
(3)『着心地が悪くなるのがイヤ!5点』
(4)『風合いが悪く、やぼったくなるのがイヤ!6点』
(5)『周りから、だらしなく思われるのがイヤ!9点』
お客さんによって様々ですが、こんな感じだったとします。
<例えば>
(B-1)の『また着れなくなるのがイヤ!4点』で、(A)の『お金を払うことがイヤ!3点』だったとしたら、クリーニングするためにお店にやって来ます。
なぜなら、『クリーニングしない方がイヤ!』だからです。
しかし、ここで問題になるのは、『体験する可能性を示す体験率がどうか?』になります。
もしも、『これくらいだったら、まだ着れる』と感じたら、着れなくなる可能性の『体験率』は100%ではないのです。
仮に、『体験率』を70%だったとします。
これを計算すると、
『イヤ度4点』×『体験率70%』で、『イヤな感情2.8点』です。
こうなると、『クリーニングする方がイヤ!』になります。
つまり、クリーニングするためにお店にやって来ないのです。
どうでしょうか?
これは、(B-5)の『周りから、だらしなく思われるのがイヤ!9点』の場合も同じです。
お客さんにより、『感じるイヤ度』が違うのですが、仮に『イヤ度9点』だったとしても、『周りから、だらしなく思われる可能性』も違って来ます。
つまり、そのような状況にあまり行かない人にとっては、『体験率』は低いのです。
<例えば>
『イヤ度9点』×『体験率30%』だったとしたら、『イヤな感情2.7点』になります。
これは、(A)の『お金を払うことがイヤ!3点』を下回るので、クリーニングするためにお店にやって来ないのです。
計算が苦手な方には、何が何だか分からなかったかもしれません。
しかし、『イヤ度』×『体験率』が分かれば、お客さんを行動させやすくなるのです。
しかも、ここが分かれば、どんなお客さんを集めればいいのかも分かります。
<例えば>
先ほどのクリーニング店さんの場合ですと、
『専業主婦のお母さん』よりも、『仕事バリバリのお父さん』や『キャリアウーマンさん』を集めた方がいいでしょう。
なぜなら、(A)の『お金を払うイヤ度』よりも、(B)の『周りから、だらしないと思われるイヤ度』が大きいことと、それを体験する可能性である『体験率』が高いからです。
◆『イヤ度』×『体験率』=『イヤな感情』
クリーニング店さん以外のお店でも、きっと使えるはずです。
一度、意識してみて下さい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
伊丹芳則