こんにちは、値上げの専門家(中小企業診断士)の伊丹芳則です。
お客さんが何らかの買物をする時、事前に『予算帯』を決めています。
その決め方の1つが、『1-3-5の予算帯』です。
これは、『1-3-5』などの『奇数』は、昔から縁起が良い数字と言われ、日本人に好まれており、逆に、割り切れる『偶数』は、『分かれる』を意味して嫌がられる数字になっています。
このような心理的な傾向以外に、『片手』で数えやすく、『違い』が伝えやすいなどの理由があるようです。
<例えば>
美理容業界のカット料金で、具体的な金額を見てみます。
◆(A)『1万円』
◆(B)『5千円』
◆(C)『3千円』
◆(D)『1千円』
という(A)~(D)『予算帯』で、お客さんは、『事前に、どのお店に行こうか?』と決めているのです。
これにより、それぞれの『予算帯』で、お客さんのお店に対する認識が違って来ます。
<例えば>
◆(A)『1万円』の予算帯は、カリスマ人気美容師がいるお店
◆(B)『5千円』の予算帯は、通常の美容師がいるお店
◆(C)『3千円』の予算帯は、通常の理容師がいるお店
◆(D)『1千円』の予算帯は、10分で仕上げるカット専門のお店
ドンピシャでないかもしれませんが、それぞれの『予算帯』によって、お店に来る客層が変わってくるのは事実です。
では、なぜ『予算帯』ごとに、客層が分かれるのでしょうか?
それは、それぞれの『予算帯』ごとに、『価格壁』が存在するからです。
<例えば>
◆(D)『1千円』と(C)『3千円』には、『2千円の壁』がある
◆(C)『3千円』と(B)『5千円』には、『4千円の壁』がある
◆(B)『5千円』と(A)『1万円』には、『8千円の壁』がある
それぞれの『価格壁』は、無意識の中にあるので、なかなか気付きません。
しかし、この『価格壁』を理解していないと、『求める客層でないお客さん』を集めてしまうのです。
<例えば>
カット料金の『予算帯』が、(B)の『5千円のお店』があったとします。
このお店が、『20%の割引き』をして、『特別カット料金4千円』としたとしましょう。
この時の『4千円』は、このお店の『価格の下の壁』ギリギリなので、求める客層は変わりません。
ところが、このお店が、『30%の割引き』をして、『特別カット料金3千5百円』としたとしたらどうでしょうか?
この時の『3千5百円』は、このお店の『価格の下の壁』を超えてしまったのです。
そうすると、(C)の『3千円のお店』を予算帯とするお客さんの層が反応します。
普段は『5千円なので、見向きもしなかったのですが、3千5百円なら行ってもいいわ』となるのです。
しかし、初回は、『30%の割引き』で来たとしても、2回目が、通常料金では来ません。
例え、『20%の割引き』でも、来ないでしょう。
なぜなら、『20%の割引き』でも、(C)の『3千円のお店』の『価格の上の壁』が、4千円だからです。
(B)の『5千円のお店』としては、『新しいお客さんに来て欲しい』という想いから、『30%の割引き』を行ったのでしょう。
しかし、お客さんごとに『予算帯』や『価格壁』あることを理解していないと、『初回30%の割引きセールス』が、一番の失敗であることに気付かないのです。
理解するポイントは、3つ!
◆(1)『お客さんは、事前に予算帯を決めていること』
◆(2)『それぞれの単位で、1-3-5の予算帯があること』
◆(3)『それぞれの予算帯には、それぞれの境界に、2-4-8の価格壁があること』
これらのポイントを押さえることで、予算帯にあった客層のターゲットをはずさない価格設定ができるはずです。
ほぼどの予算帯でもあてはまりますので、一度チェックしてみて下さい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
伊丹芳則