こんにちは、値上げの専門家(中小企業診断士)の伊丹芳則です。
社長さんは、日々、いろいろな課題と戦っています。
しかし、『課題の整理』ができていません。
そのため、ついつい『目先の課題』をしがちになります。
『目先の課題』とは、『売上げアップ』です。
確かに、『売上げアップ』さえ出来ていれば、何とかなるという気持ちは分かります。
しかし、それだけでは解決しないのです。
では、会社を経営する上において、どのような課題があるのでしょうか?
課題の分け方には、いろいろありますが、その中で、2軸で分ける方法で考えてみます。
まず1つ目の軸は、『外部へ向かう課題』と『内部へ向かう課題』という軸です。
会社を経営する課題を考える場合、『外部へ向かうものなのか?』、『内部へ向かうものなのか?』をハッキリさせなければいけません。
もう1つの軸は、『カネ』、『モノ』、『ヒト』という軸です。
この2つの軸を組み合わせると、次の6つの課題になります。
◆(1)『カネの課題』
外部:資金調達
内部:コストダウン
◆(2)『モノ(コト)の課題』
外部:売上げアップ
内部:利益アップ
◆(3)『ヒトの課題』
外部:人材採用
内部:人材育成
課題の名称は、それぞれの会社に合わせたものにすればいいと思います。
それよりも、2つの軸で課題を整理することが重要と言えるのです。
さらに重要なことは、課題を行う順番になります。
ポイントは、『内部へ向かう課題』から先に行い、『外部へ向かう課題』はその後に行いましょう。
なぜなら、外部と内部ではそれぞれの課題に特徴が違うからです。
◆『外部へ向かう課題』の特徴
(A)相手の立場で考えなければいけない
(B)沢山の選択肢の中から選ばれるための理由がいる
(C)外部へ向かうためコントロールしにくく、結果が確実に出るとは限らない
◆『内部へ向かい課題』の特徴
(D)自分の立場で考えることができる
(E)あらかじめ決めたルールを守ることで解決できる
(F)内部へ向かうためコントロールしやすく、しっかりコントロールできると結果が出やすい
<例えば>
これらの特徴を『カネの課題』で考えてみます。
◆『カネにおける外部へ向かう課題』は、『資金調達』です。
この時、(A)の『相手の立場を考えなければいけません』、この場合の相手とは、『銀行などの金融機関』になります。
そして、(B)の選ばれる理由として、『この会社に貸す理由』がいるのです。
いろいろな書類を集めて、理由を用意しなければいけません。
しかし、(C)のコントロールしにくいため、融資が確実に全額受けられるとは限らないのです。
一方、
◆『カネにおける内部へ向かう課題』は、『コストダウン』になります。
この場合、(D)の自分の立場で考えられるので、『原価や経費』の見直しを行えばいいでしょう。
そのためには、(E)のあらかじめ『ルール』を決めて、それを守ればいいのです。
『ルール』の決め方は、
(a)『何のために必要なのか?』(目的)
(b)『どこまで抑えればいいのか?』(ゴール)
(c)『日々、何をすればいいのか?』(基準)
などをハッキリさせます。
これらがハッキリすると、(F)のコントロールがしっかりできるので、確実にコストダウンできるでしょう。
もしも今、あなたの会社で、『資金調達』が必要な状態になったとしたら、いきなり外部への『資金調達』へと向かわず、まず、内部への『コストダウン』で、余分なコストをカットして、資金を絞り出してみて下さい。
その上で、それでも不足する分だけを『資金調達』へと向かうのはどうでしょうか?
これをすることで、『銀行』にもその姿勢が伝わるので、『ここに貸す理由』の1つができるはずです。
また、外部への『売上げアップ』を行う場合でも、まず、内部への『利益アップ』から行います。
なぜなら、無理な『売上げアップ』をしてしまうと、『利益アップ』につながらないやり方になるので、やらない方がマシとなることが多いからです。
まずは、『しっかりと利益が取れる商品に育てて、それに見合う価格で販売すること』が、先決になります。
実は、お客さんもそんな商品を待っているのです。
『売上げアップ』よりも、『利益アップ』が先と認識して下さいね。
同じように、『人材採用』よりも、『人材育成』が先です。
『人材採用』が必要になる原因の多くは、しっかりと『人材育成』できないからと言ってもいいでしょう。
だから、『人材採用』を繰り返してしまいます。
課題を達成する場合は、まず、『内部へ向かう課題』を行い、その上で、『外部へ向かう課題』にチャレンジしてみて下さい。
この順番がとても大切です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
伊丹芳則