毎月の売上げを、昨年同月の売上げと比べて、『上がったか下がったか』で一喜一憂する社長さんが多くいます。
『上がったか下がったか』を見ることは大切です。
しかし、『先月が悪かったから、今月は頑張らないと・・・』と短絡的に考えていたのでは、問題は解決しません。
『この1年間で見ると、どうなのか?』が大切です。
特に、季節変動が大きいお店では、季節のちょっとした変化で、売上げが大きく変わってしまいます。
先程の社長さんに、『この1年間では、どうなのですか?』と聞くと、『いや~、それは決算書が出るまで分かりません』とか、『試算表で途中経過は分かるのですが、1年分は分かりません』となるのです。
日本では、1年中、変動なく同じ売上げになることは少なく、業種業態によって何らかの季節変動はあります。
あまりにも大きいお店では、『季節変動指数』という基準を作って、各月の売上げ予算を立てているところもあるほどです。
それくらい季節変動は売上げに大きく影響を与えます。
では、季節変動の大きいお店は、どうすればいいのでしょうか?
そんな時は、『売上年計表』と言われる便利なツールがあります。
『売上年計表』とは、12カ月の売上げを1カ月ずつ移動して累計して、その月時点の1年間の売上を出すことで、季節変動の影響を無くすことができるのです。
<例えば>
H27年3月の売上年計の場合だと、H26年4月~H27年3月までの1年間の累計の売上げを計算して出します。
<例えば>H27年2月の売上年計の場合だと、H26年3月~H27年2月までの1年間の累計の売上げを計算して出します。
<例えば>H27年1月の売上年計の場合だと、H26年2月~H27年1月までの1年間の累計の売上げを計算して出します。
このように出した、その月時点の1年間の売上を出した表をグラフにしたのが下の図で、青色の折れ線グラフが『売上年計表』です。

毎月の売上げデータがあれば、表計算ソフトの『エクセル』で簡単に作ることができます。
作り方は、ネットで検索すればすぐです。
この『売上年計表』のベースは昨年同月比の売上げなのですが、大切なところは、それらをつなげることで、『ある傾向』が出るところにあります。
それが、上の図にある(A)の『下降傾向』、(B)の『横ばい傾向』、(C)の『上昇傾向』の3つです。
これは、単に昨年同月の売上げと比べて、『上がったか下がったか』と短絡的に一喜一憂するのでなく、2~3年の流れから、『今の売上げは、どんな傾向なのか?』をグラフで見ることができます。
こうすることで、季節変動や販促時期の変化などの影響を気にせず、『実質の行動』の良し悪しを早めに気付くことができるのです。
経験則ですが、上がったり下がったりしてつかみにくい売上げの変化を、2~3カ月前に、感覚ではなく数字とグラフでその傾向を見ることができます。
上図の『売上年計表』を見る時のポイントを、簡単に説明しましょう。
◆(A)の『下降傾向』の場合は、不足要因を探すこと
この場合は、たいてい、『行動不足』が多いので、『何が不足しているのか?』をチェックして、不足の行動を補って行く
◆(B)の『横ばい傾向』の場合は、変化要因を探すこと
この傾向の場合、『どんな行動が良くて、横ばいになったのか?』、変化した行動をチェックして、その行動を強化する
◆(C)の『上昇傾向』の場合は、新しい行動要因を探すこと
この傾向になると、いろいろな新しい行動を試していることが多いので、『どの新しい行動が良い影響を与えているのか?』をハッキリさせて、良い影響の行動を継続する
などなど、今までは、季節の変動などの色々な要因で分かりづらかった売上の変化が、目でみて分かるようになります。
特に大切なのが、『(A)から(B)になった時、何をしたのか?』と、『(B)から(C)になった時、何をしたのか?』です。
売上年計表があると、今までの自分達の行動が手に取るように分かりますよ。
お試し下さい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
伊丹芳則