こんにちは、販促相談員の伊丹芳則です。
クリーニング店さんで、『シミ抜きアドバイザー制度』を考えているお店があります。
『シミ抜きアドバイザー』って、どんなイメージを持つでしょうか?
普通に考えると、シミのことをよく知っていて、『どのようにすれば、シミが落とせるのか?』が分かる人のことを想像するかもしれませんね。
『どのようにすれば、シミが落とせるのか?』も大事ですが、それは『モノとしてシミを捉える技術屋さん』の考え方です。
『シミ抜きアドバイザー』は、モノとしてのシミのことよりも、もっと違うことを聞きます。
以前にもお話したと思いますが、
◆『これは、何のシミですか?』と、モノとしてのシミのことは聞かず、
◆『これは、どこで付いたシミですか?』と、ヒトが行動して、その衣服をどこで使ったのか、場所を聞きます。
なぜかと言うと、これを聞くことで、お客さんの衣服に対する『関わり方』や、衣服に対する『想い』が分かるからです。
お客さんに何かをアドバイスする時に一番大切なことは、この『関わり方』や、『想い』をまず知ることから始めます。
なぜなら、ここを共有しない限り、どんなに良いアドバイスも『売り込み』になるからです。
<例えば>
奥さんが自宅の洗濯機で旦那さんの衣服を洗ったところ、一緒に洗った衣服からの色落ちで、汚してしまって、クリーニング店に持ってきた場合
◇スタッフ『どうされたのですか?』
◆お客さん『自宅で洗ったら、こんなになってしまったの?』
◇スタッフ『本当、他の色が付いていますね』
◆お客さん『どうしよう、失敗しちゃったけど、何とかなる?』
◇スタッフ『大丈夫ですよ、何とかなりますよ』
◆お客さん『あらそう、じゃ、お願いします』
短くまとめると、こんな会話をしたとします。
お客さんの衣服との関わり方は、『私の失敗でこんなになってしまった。どうしよう』と、責任を感じています。
お客さんの想いは、『このままじゃマズイ、怒られる、何とかしたい』です。
このことが上の会話から分かったので、スタッフさんは『大丈夫ですよ、何とかなりますよ』と想いを察してあげたのです。
もう少し付け足すと、『家庭での色移りは、ほとんどキレイになりますよ』と言ってあげると、お客さんは、『ホッと』されます。
この場合、『シミがどうの、こうの』と言うことはありません。
このように言い切って、もし、完全に落ちなくても『着用できるレベル』であれば、大抵のお客さんに感謝されます。
なぜなら、お客さんは、『自分に責任を感じている』からです。
スタッフさんからの『安心の言葉』で、すでに救われています。
このようなスタッフさんが、『シミ抜きアドバイザー』です。
アドバイザーは、お客さんに『安心してもらい、期待してもらう』ことが一番大切になります。
そのために、まず、『お客さんから事情を聴く』のです。
なので、アドバイザーの仕事の約8割は聴く時間になります。
お客さんの事情を聴くことで、始めて良いアドバイスができるのです。
極端な場合、この聴くことができてから、シミのことを学んでも遅くはありません。
『アドバイザー制度』でスタッフを育てるには、まず、『お客さんの事情を聴けるアドバイザー』を増やすことです。
このような聴けるアドバイザーが増えてきたら、間違いなくお客さんはリピートします。
なぜなら、『頼りになる、自分の味方』がいるお店だからです。
『アドバイザー制度』で、スタッフを育てると、お客さんがリピートする確率がぐっと高くなります。
一度、検討して見て下さい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
伊丹芳則