戦争をしているわけもないのに、『〇〇戦略』という言葉がよく使われます。
これは、今が『平和な状態』でないことを意味しているからです。
何の『競争』もなく、満たされていて、みんなが協力して、幸せに暮らせる状態では、『戦略』はいりません。
しかし、自分が誰よりも早く、一番幸せになりたい。
そんな『欲求』を持ち、それを『実現』しようと、誰かが思った瞬間、『競争』が起こり、『お客さんの奪い合い』が始まります。
そんな時『戦略』が必要となるのです。
『戦略』を一言でいうと、『何を優先し、何を犠牲にするか、を決める』事と言えます。

なぜなら、多くの場合、『限られた資源』しかなく、それを『一点に集中』しなければ『競争』に勝てないからです。
だから『限られた資源で、競争に勝つための策略』とも言えます。
戦略を考える場合、『今起こっている問題』よりも『これから起こる可能性(チャンス)』が対象になる場合が多いです。
どの分野でも『チャンス』は意外と多く訪れています。
しかし、『リスク』が伴っているため、『チャンス』と気づきにくいのが現状です。
また『わからないこと』も多く、『チャンス』なのか、そうでないのか判断すらつきません。
そのため『するか、しないか』の決断が求められ、大変な覚悟が必要とされ、結果的に『チャンス』を逃がしている場合がほとんどです。
例えば、下記の図に示した『金額上位のお客さん』と『売上げ金額』の構成表で考えてみます。

『競争』がない場合は、すべてのお客さんを大切にします。
しかし『競争』が激化してくると、何かを『優先』し、何かを『犠牲』にしなければ生き残れないようになるのです。
左図の『赤色とピンク色の上得意のお客さん』30%で、右図の『売上げ金額』70%を占めるとします。
残りの『青色と水色のお客さん』70%で、『売上げ金額』30%を占めます。
では、この『青色と水色のお客さん』70%に使う、『時間』は、全体の何%あると思いますか?
答えは、約70%です。
つまり『青色と水色のお客さん』は『赤色とピンク色の上得意のお客さん』より、金額的では半分以下で、時間では、二倍以上かかっているという事です。
であれば、上得意の『赤色とピンク色のお客さん』を優先して『時間』を取り、『青色と水色のお客さん』を犠牲にすれば、最高のサービスが可能となります。
これが『戦略』です。
この上得意客を重視しますと
◆客単価が上がる
◆年間リピート回数が増える
◆小規模で利益を上げやすい
◆『個別対応』で、お客さんの満足度が上げる必要がある
◆『直筆のハガキ』や『ニュースレター』など、販促の手間がかかる
◆少数精鋭のスタッフが必要になる
◆経験のあるスタッフが揃わないと規模が大きくならない 等々
また逆も考えられます。
つまり『青色と水色のお客さん』に含まれる新規のお客さんを集めることを優先して、『赤色とピンク色の上得意のお客さん』を犠牲にする場合です。
犠牲にすると言っても『時間』をです。
新規のお客さんを多く集めると、待ち時間が長くなります。
バタバタと余裕がなくなります。
結果的に上得意のお客さんへのサービスが低下するのです。
この新規のお客さんを重視する場合は
◆客数が増える
◆売上げを増やしやすい
◆設備や商品の『回転率』がよくなるため、生産性が上がる
◆『チラシ』や『ネット』などの『割引きクーポン等』で集めやすい
◆客数増に対応するスタッフの人数が必要になる
◆客単価が下がる
◆規模の大きいお店が有利になる 等々
どちらも一長一短はあります。
しかし、ひとたび『競争』が起これば、『戦略』のない者は、『戦略』のある者に、知らない間に敗れてしまいます。
もし『戦略』を持っていないのであれば、自社にとって『何を優先し、何を犠牲にするのが自社らしい』のか『戦略』を持って戦って欲しいものです。
先の事は誰もわかりません。
しかし、先を定めて毎日積み重ねていけば、先を自分で作ることができます。
『ブレ』ずに前に進むためには『戦略』がいるのです。
まずは『何を優先するのか?何を犠牲にするのか?』選択して、決断する必要があります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
株式会社アイ・マーケティング 伊丹芳則