10月15日発売されましたAIM17の、Music and City Festivalレビュー!
10月15日発売されました、AIM17「Youthscapes of Seoul, Hongdae」に、9月7日に韓国で開催された Music and City Festival Vol.1のレビューが掲載されました。レビューは弘大で長く暮らし音楽に親しみながら、今では写真を撮ることを業としている、ポール・パク氏からいただきました。ありがとうございます!Music and City Festivalは、9月の韓国公演に続け、11月7日、渋谷のWOMBLIVEにて日本公演が開催されます。こちらのレビューをお読みいただいた皆さんも、是非、ライブに参戦し、その感動を感じてみてください!Music and City Festival :http://music-and-city.com/*AIM17「Youthscapes of Seoul, Hongdae」は10月25日からAI Mallにてご購入いただけます。AI Mall :http://mall.aient.asia/*以下はポール・パク氏のレビュー日本語全文です。(本には韓国語版も載っております。)9月のソウル、朝はかなり肌寒く、昼には汗が出るほど暑かった日曜日の午後。友達と久しぶりに弘大で会った。人々でいっぱいの地下鉄2号線の駅を出て、Music and City Festivalの会場まで歩きながら、お互いの安否と公演に対する期待感を分かち合った。天気はかなり暑く、いまだ弘大は若者たちが噴出するエネルギーに満ちていた。公演 を見るにはちょうどいい日だった。私は弘大で10年過ごした。そして東京で1年を過ごした。 (今はブタペストに住んで3年目だ。)私の友人もほとんどが弘大で20代を過ごした。当時は一緒に公演を見て、弘大をさまよう青春だったが、今は状況が変わった。その時大学生だった私たちは、今では仕事も違い、住んでいると ころも違う。装いも当時とは変わり、バラバラになった。 結婚をした友人もいれば、非婚を宣言した友達もいる。 私たちは、かなり変わった。お互いに違う姿で生きている友人だが、Music and City Festival公演に招待すると、みんな快く来てくれた。おそらく以前の弘大の公演文化に対する懐かしさと郷愁ではないだろうか? 昔の弘大には、様々な色のインディーズバンドが一緒に公演をする会場がかなり多かった。特定の音楽への偏向よりは、様々なバンドの音楽が消費されるクラブ中心の公演だった。しかし、今では弘大も変わった。私たちが変わったのと同じだけ弘大インディーズシー ンもかなり変わった。だからこそ、Music and City Festival 公演が嬉しかった。Music and City Festival公演は、日本と韓国、全6組の互いに異なる色のミュージシャンが参加した。日本から来たyahyelと C SQUARED、Newspeak。韓国のJUNIELとwetter、Car, the gardenがそれぞれ自分だけの音楽を聞かせてくれた。韓国の観客たちには多少の実験的な音楽であるyahyelをはじめ、ダンスとバンドの組み合わせという新鮮な衝撃を与えたC SQUAREDが公演の開始を飾った。公演の開始に出会った二つの日本チームの音楽は韓国のファンたちに新しく興味深い経験を与えるに十分だった。新鮮さで会場はいっぱいになり、最初ぎこちなくしていた観客はいつの間にか音楽に身を任せ、それぞれの楽しみに陥った。 続く韓国のジュニエルと日本のNewspeakは、韓国と日本の音楽が互いに共感できる部分を示した。韓国では完全に無名のはずのNewspeakは韓国公演の白眉である合唱が可能なほど韓国ファンたちに愛されていた。カンジャンケジャンを叫ぶボーカルReiに、韓国のファンたちは楽しんだ。日本と韓国は近いけれど明らかに距離感がある。 しかし、お互いが共有することができる何かが確かに存在するという事実を確認させてくれた。舞台の最後を飾った韓国のwetterとCar, the gardenは韓国的情緒を新しい感覚で再解釈した音楽で観客を魅了した。11月予定の日本公演でも彼らが見せてくれた音楽が韓国を越え、日本の観客にも十分に魅力的な音楽にななることが期待される。最も興味深い点は、6組のミュージシャンには共通点といえるほどの部分はほぼないのだが、妙に合っていたということである。特に日本チームが追求する音楽的カラーと 韓国チームのそれは相当に違うのだが、Music and City Festival公演の中で妙にお互いの空白を埋めてくれるような感じがした。それはまるでバランスよく組み合わされたコース料理のようだった。互いに異なる材料と調理法の料理がそれぞれの味と香りを醸し出すが、全体的なコースの中では、それぞれの役割がある。前の料理は、後の料理に明らかに影響を与える。yahyelとC SQUAREDの新しさは、続くJUNIELとNewspeakの公演で、韓国と日本が一緒に共感できるという共通点をより明確にしてくれた。そして続くwetter とCar, the gardenの公演は、新たに解釈された韓国の音楽が日本チームの新しい試みと対比されて、さらに自分だけの色を表わしていた。韓国と日本。そして参加した6組の色がすべて異なるという点。その中でも、日本のチームと韓国チームの明確な対比、またお互いが共感しやすい音楽を適切に混ぜておいた積集合部分まで。Music and City Festival公演を企画した人々の悩みや意図が十分に感じられた。そして、その適切な公演の進行に、観客の興奮と楽しさも2倍になった。 会場は広くはなかったが、お互いの違いを楽しむ観客たちの熱気で、4時間という時間が短く感じられるほど満ちていた。各組の公演が終わるたびに、惜しむ気持ちでアンコールを叫び、公演と公演の間には、前の公演の感想を分かち合う会話が絶えなかった。単に自分の好きな音楽を消費するよりも、新しい音楽に出会い、新鮮な衝撃を経験する楽しみでいっぱいだった。ある人は踊り、ある人は目を閉じて音楽を吟味した。手拍子をしながら跳びはねる人々の間では、座って足の裏でビートに乗る人もいた。そのようにそれぞれが自分だけの方法で新しい音楽を楽しんでいた。誰も自分の好みを強要しない。ただ自分だけの方法で新しい楽しみを探す人でいっぱいだった。公演はそうして互いの相違で新しさを作り出した。公演が終わり、久しぶりに弘大で友人と公演の感想を交わした。最も興味深かった点は、お互いが公演で感じた感情がすべてばらばらという点であった。日本のバンドの新しさにすっかり興奮している友達AとNewspeakにハマった友人B。韓国のバンドの試みに拍手を送る友達Cと公演全体の構成のバランスを賞賛する友人Dまで。みなそれぞれの基準で公演を楽しみ、自分だけの楽しみを探した。 私たちは、同じ公演を楽しんだが、それぞれの楽しさは、すべて違うところにあった。それが、おそらくMusic and City Festivalが追求する"Not better, Be different"が与える楽しさではないだろうか? 弘大の夜は深まり、久しぶりに面白い公演を味わった私たちの食欲は爆発した。1次会のカルビと一緒に飲んだ甘い焼酎は、2次会のチキン唐揚げが美味しい居酒屋で楽しんだ日本酒につながった。今日の公演と同様に韓国と 日本とがコラボレーションした飲み会が夜遅くまで続いた。 適度に酔った足取りで向かう家への帰り道。私は尋ねた。 「私達はなぜ違うのか?」それはおそらく違いが新しさを作り出す上での最も大きな力だからだろう。それぞれの職業も、性格も、好みもすべて異なるが、お互いの好みを尊重し、新しい経験を恐れない私の友人たち。Music and City Festival韓国公演はこのように多様な人々が集まり、 自分だけの新たな楽しみを感じさせてくれた公演だった。 より多くの人々に、また別の新しい楽しみを与えるMusic and City Festivalの今後の公演も期待したい。