ダダダダダ


どさ


又クローが何気なく撃った弾丸で 敵が倒れた

一体何が起きてるのだろうか? まるで超人である

クローは戦闘は素人同然だがあいかわらず(追い詰められると強運になる)という

特殊能力はある そしてこの上なく追い詰められた彼は 今スキル発動の真っ最中である

適当に撃った弾はかなりの確立で敵の額を撃ち抜く

勿論そんなことは彼は知らないが その偶然は今のところ彼にとっては(当然)である

クローは実戦経験がないため他の傭兵や 兵士がどういうものかほとんど知らない

なんの練習もなしに本番にきてるのである

よって(弾は適当に撃てば当たるもの)みたいに思い込んでいる

それは彼の中では 誰でもそうなる というもので 別に自分が特別だとは全く思ってない

その無知が彼の強運を呼び寄せるキーになっているのだ

よく(ビギナーズラック)という言葉を聞いたコトはあるだろう

初めてカジノに入った女子高生なんかが 大勝ちするってはなしである

人間誰しも何回もカジノに入ると(慣れてくる)もので こうやったら勝てるとか

こうしたら確実に勝てる 勝ちやすいといった なんらかの法則を作る

だが、それこそが強運を失う最大の理由で ファーストインプレッションと言われる

(天啓) この科学では説明できない力を阻害するのである

クローは他の兵士を知らない為 自分が特別だと全く思ってないので

最初のスタイルのまま 戦っている 言わば(ずっとビギナーズラック状態)なのである

無知で 無邪気 それゆえに天啓を授かる

それがクローの力の秘密である

そして今クローはキレている

アマリの怒りで我を忘れ ぷっつんした彼はメキシコ人特有の

(キレタらゾーンに入っちゃう状態)の真っ最中である

誰よりも音は大きく聞こえ 視力は倍増 動くものは全部スローに見え

ほんの数秒先の未来が予知できる 誰でもスポーツやってた人なら一度は入ったことがある

(絶対領域)である

強運のやつがゾーンに入ったらどうなるか? 今のクローがまさにそれである


残り8発 まだいける


クローがちょっと油断をした隙に前方に敵が


ダダダダダ


ぐっ くそ


敵に撃ち込まれ後方に吹き飛ぶクロー 吹き飛びつつ前方に銃を撃ち返す


ダダダダダダダダ


しまった


そう叫や否や 胸を5発撃ち込まれ 息が詰まった状態でクローはサバイバルナイフを抜いて

走った


ぐさっ


間一髪 敵が構えた銃がクローを撃ち抜く前に 敵の喉にナイフが刺さる

見事に急所を突き刺したクローは敵を一瞬で絶命させる事に成功する

クローの銃撃で右肩を撃ちぬかれた敵は左手でハンドガンを構えたが力なくその手はぐたりとおちた


くそ、、弾が


防弾チョッキに当たったとはいえ 弾丸を5発も胸にくらったクロー

未だにほとんど息ができずにいた まるでヘビー級のボクサーにパンチをくらったような

衝撃である おそらくアバラが何本かは確実に折れているだろう

ナイフで殺した兵士のアサルトライフルを肩から外そうとしていると


かちん


嫌な音がしたのに気づく 敵兵が最後の力を振り絞って腰の手榴弾の安全ピンを外した


まずい


クローはナイフも抜かずに その兵士を思いっきり突き飛ばす

そして逆方向に思いっきり走り出す 目の前は歩道だ 出れば狙い撃ちにされるかもしれない


くそっ知るか


クローは歩道に飛び出した


どーん


クローが歩道に飛び出したと同時に 手榴弾が吹き飛んだ



クローは絶体絶命に追い込まれた

もう助からない どうにもならない

今援軍が来てももう遅い 奴らが殺される前にオレが死ぬ、、、

そう思ったら クローはなんかおかしくなってきた


はっ はははっ


にやにや笑うクロー完全におかしくなったのか?かちかちかちかち

AK47の安全装置を外したりつけたり 行動が支離滅裂になっていた


なんかムカついてきたな 、、、


クローは本気で怒ったことは一生に2~3回しかない

普段からテンションが高めだが 本気で怒ることはほとんど無い基本温厚な男である


そもそもなんなんだこいつら こっちは一人だぞ?

良い大人がよってたかって しかも殺しのプロがオレみたいな普通の民間人を?

せめてサシで来いよ プロなんじゃねえのか??

この卑怯者どもがー


そう吐き捨てると クローは自分に向かってくる 捜索兵にむかってつっこんでいった

が、突っ込んでいく途中まるで時間がゆっくり流れてるかのような妙な感覚がクローを包んだ


ん?なんだこの感覚


妙に音が大きく聞こえる はっきりと自分の踏み込む足の音敵の足音が鮮明に聞こえる

どの方向から足音が聞こえるかはっきりわかる 敵の位置は茂みと木で全く見えないが


そこ


そういうと前方にAKを撃ち込んだ 全く何も見えない茂みに向けてである


どさっ


何かが倒れる音がする ヤッタのだろうか


後はこっち


片手でAKを右肩の方向に撃ち込む クローは全く相手を見ないで撃ち込んでいる


ダダダダダダ


どさっ どさっ


何かが倒れる音が二つ聞こえた 


この音は 頭にあたったな


で、こいつはたぶん


ダダダダ


目の前の茂みに撃ち込む


ぐわっ


何かが絶命したような声が聞こえる 茂みに居た男はまだ生きていたようだ

茂みの中を探索すると クローの予想道理 ベレッタを片手に持って今にもクローに撃ち込もうとしてた

兵士が死んでいた その兵士がつけてる装備は他の兵士とは少し違い

全身黒く塗られていた なんとなくクローはその兵士の服を剥ぎ取り着替える

心が無いかのような気持ち悪い余裕である 何があったのだろうか?

その男の黒い防弾ヘルメット 防弾ベストに着替えズボンまで剥ぎ取りそれに着替えると

ポケットからGPSだけ取り出し 自分が着てた服のポケットに入れると

鼻歌を歌いながら 近くにあった木の枝で自分の服でかかしを作り出した

小枝を袖に通し ハンガーのようにしただけの かかしをつくると

それを少し眺めの枝につけ 歩道に向けて 出した


ダダダダダダ


出すや否や凄いスピードでかかしは吹き飛んだクローは鼻歌を歌いながら

得意の(撃ち込んだ弾の角度で撃った人間の位置がわかる)能力で

吹き飛んだかかしの その方向から敵の位置を予測 敵の位置と思われる方向にAKで7発撃ち込んだ


ダダダダダダ


どさ


又何かが倒れる音がした 20メートルほどバックステップで下がり

近くにあった茂みに腰を落とすクロー 茂みの中で おもむろにカートリッジを抜き取り

ゆっくりと 残弾を抜き取る 持っていた10発残しのカートリッジに残った4発を入れると

14発入ったカートリッジを差し込んだ


きたか、、しつこいな


そう呟くとクローは座りながら 又その方向を見もしないでAKを撃ち抜いた

クローはメキシコ系アメリカ人である

彼の血は半分メキシコ人の母の血が流れている

昔 クローとは関係ない話だがこんなことがあった

WBCベースボールのメキシコ対アメリカの試合である

メキシコとアメリカはWBCの予選を戦っていた アメリカは決勝進出がかかった大一番

勝つか引き分けで決勝ラウンド進出が決まる 負けたら敗退である

一方メキシコはもう予選敗退が決まっており いわばこの試合は勝っても負けてもいい状態である

試合は1-0でアメリカリード お互いの投手がなかなか打ち崩せず 試合は拮抗していた


カーン


あるメキシコのバッターが 良い当たりをライト方向に放ったボールはポールに激突

ホームランだ

メキシコベンチが大喜びしランナーを出迎えようとすると

(いやファールだ) アメリカの審判がホームランをファールだというのだ

怒ったメキシコベンチは猛抗議 ベンチに居た選手がライトまで走っていき

その疑惑のあるボールをとりにいった ボールにはべっとり ポールのペンキがついており

明らかにポールに直撃した証拠まである だが

結果はファール 世紀の大誤審とか言われた試合である

だがここからがある意味本当に凄かった

怒ったメキシコ人は 物凄い緊張感と集中力で試合を展開

ピッチャーは全くアメリカのバッターにかすらせもしない 素晴らしいピッチング

バッターもとにかく簡単にはアウトにならない脅威の粘り

じりじりじりじり おしこまれたアメリカはついに2-1で逆転負け

メキシコに破れ決勝進出を逃すのである


メキシコ人は普段から無駄にテンションが高い

ようは陽気ともいうが 言わば(ナチュラルハイ)なのである

なので彼らが切れるとどうなるか? 逆になり(静か)になるのである

だがただ静かになるのではない 怒りで心を支配された彼らは恐ろしく冷静になり

頭の回転は速くなり 物体の移動スピードが遅くみえる いわゆる ゾーンに入ってしまうのである

陽気で気が良い彼らが怒ることはめったに無い 一生怒ったことがないなんて人もいるほどだ

それを怒らせると、、 メキシコ人に詳しいある教授がよくいってたセリフがある


彼らは決して怒らせてはいけない