今回のブログのタイトルは、教員免許の返納と『免許状を有する者』としてみました。

 

学童保育となんの関係があるの?と思われるかもしれません。

 

まず、教員免許と学童保育の関係ですが、

 

指導員ってどんな人? 放課後のおうちの親代わり-放課後児童支援員の資格を考える- | 弁護士aikoの法律自習室 (ameblo.jp)

 

でも指摘しているように、『教育職員免許法第4条に規定する免許状を有する者』、いわゆる教員免許を持っている人は、放課後児童支援員認定資格研修を受講する基礎資格があるものとされています(放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(以下『設備運営基準』といいます。)第10条第3項第4号)。

 

そして、『免許状を有する者』という書きぶりで、『教諭となる資格を有する者』(※なお、設備運営基準ができた当初はこの書きぶりでした。)という書きぶりはされていないのは、教員免許状の更新を受けていない場合(教諭となる資格としては失効した場合)でも、有効な教員免許状を取得して、『免許状を有する者』であれば、放課後児童支援員認定資格研修を受講することができるからです。

 

放課後児童支援員認定資格研修は、全日程を受講すればその資格は取得できる(=レポートの提出等はある場合はありますが、合否の判定までは予定されていない)ので、教員免許の『免許状を有する者』は、学童保育に採用されやすいです。

 

ただ。『教諭となる資格としての免許状の失効』が、教員免許の更新講習修了確認期限までに必要な手続を取らなかったことによる失効であれば学童保育との関係で問題ないのですが。

 

公立学校の教員が、わいせつ行為等により懲戒免職の処分を受けて免許状が失効した場合であったら、どうでしょうか。その事実を把握していれば、採用する学童保育はまずないはずです。

 

『公立学校の教員であって懲戒免職の処分を受けた』ために免許状が失効した場合(教育職員免許法第10条第1項第2号)には、速やかに、その免許状を免許管理者に返納しなければならない、とされています(同条第2項)。

 

ですので、法の建前上は、懲戒免職の処分を受けた公立学校の教員は、『免許状を有する者』ではなくなっているはずです。

 

しかし。

 

実際には、失効又は取上げ処分されたにも関わらず、未返納である免許状はあり、文部科学省のサイトに未返納教員免許状の一覧が公表されています。

 

この未返納教員免許状の一覧の公表は、失効又は取上げ処分された教員免許状が悪用されて教員として採用が行われる事態を防ぐため、とされています。

 

ただ、教員免許状の所有が採用において大きな意味を持ち、また、放課後児童支援員の資格取得のためには、教員免許状を所有していればよく、更新講習を受講せずに失効していても構わない学童保育の現場には、この未返納教員免許状の問題はまだほとんど知られていないと思います(このブログを書くに当たって、複数の地域の連絡協議会の方、学童保育の運営者の方に確認してみましたが、ご存じなかったです)。

 

また、都道府県が実施するとされる放課後児童支援員認定資格研修ですが、実際には、様々な民間団体に委託して実施されていることが殆どです。教員免許状を返納せず、失効又は取上げ処分になったことを隠して教員として採用されようとすることよりも、返納しなかった教員免許状をもって、放課後児童支援員認定資格研修を受講したり学童保育で働くことの方が容易ではないかと思います。

 

学童保育を運営される現場の方々や、放課後児童支援員認定資格研修を都道府県から受託している各団体の方々には、失効又は取上げ処分となったにも関わらず返納されていない教員免許状があること、そのような教員免許状の一覧が文部科学省のサイトで公表されていることを頭に入れていただき、未返納の教員免許状が学童保育において悪用されないような対応を取る必要があると考えています。