夫「うんとこしょ
  どっこいしょ

  まだまだかぶは?」

3歳の次男
 「ぬけません!!」

夫「うんとこしょ
  どっこいしょ

  やっと、かぶは?」

次男「ぬけました!!」

父子で、
楽しそうに
絵本を読んでいる声が、
聞こえてきました。

私が読むときは、
私一人でずっと読むので、

こんな楽しみ方もあるんだなぁ
と感心しました☺️


『おおきなかぶ(ロシアの昔話)』(福音館書店)
A・トルストイ 再話
内田莉莎子 訳
佐藤忠良 画

大きなカブを
おじいさんが抜こうとしますが抜けず、
おばあさんを呼んできます。

2人で引っ張っても抜けず、
今度は孫娘を呼んできます。

引っ張る人(匹)数が
だんだん増え、

最後は、
小さな小さなネズミが
加わることで、
めでたく抜けました。

おなじみのロシアの昔話です。

絵を描かれているのは、
彫刻家の
佐藤忠良(ちゅうりょう)さん。

敗戦後の数年間、
シベリアで抑留生活を
送られたため、

ロシアの人々の様子や
空気感をご存知です。

紙も鉛筆もない抑留生活の
厳しい労働の中でも、

ひたすら、
眼だけでデッサンを
されていたそうです。

慣れない絵本の挿絵には、
苦労されたそうです。

引っ張るポーズの
デッサンを繰り返しても、

どうしても押しているように
見えてしまうと、

納得のいくまで
何度も何度も
描き直されたそうです。

その話を知り、
完成した絵本の絵を
改めて見ると、

どう見ても、
引っ張っているようにしか
見えませんでした✨

このお話は
昔話ではありますが、

再話したA・トルストイの
平和への思いが
込められた作品でもあります。

(注意『イワンのばか』や
 『アンナ・カレーニナ』の
 レフ・トルストイとは
 別人です。)

ロシアの共産主義者だった
A・トルストイは、

一番小さく弱い者が
大切にされる世界、

一番小さく弱い者が、
世界を動かす世界、

を平和な理想の世界
と考えていました。

作り手の方々の背景を知ると、

感動がさらに広がり、

作品や作り手に対する
敬意も深まります。

背景などは全く考えていない
子どもたちにも
大人気の絵本です。

助けを呼んできては引っ張る、
を繰り返すことで、

だんだんと人(匹)数が多くなり、

最後はカブが抜けて大満足、

というお話の構造が、

特に2歳から3歳にかけての
子どもたちの心を捉えます。

本好きな70代の女性から、
この絵本が一番好きだと
お話を聞いたこともあります。

長々と
語りすぎてしまいましたが😅、

とにかく、
一度は読んでいただきたい
傑作です☺️