インド秘境旅行記25 | ○●ガネーシャの栖〜ヨガとバンスリと〜●○

○●ガネーシャの栖〜ヨガとバンスリと〜●○

お絵描きはちょっと休憩中。
ヨガにぞっこんな毎日。
バンスリを吹いたりして時間を過ごしています。


哲学分野は別ブロクに引っ越しします。
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深夜のシムラーのバス停は当然真っ暗。観光地だけあって、巨大なバス停。

 バスの乗客はそれぞれ、予定された方角に歩いて行く。

どうやら、この巨大なバス停からメインの観光スポットは離れているようで、ゲストハウスが全く見当たらない。 

そして、バス停を降りた瞬間から例の痴漢男に付きまとわれた。

「どこへ行くんだーい?僕の家に来るんだろー?」

暗闇に行ったら絶対に襲われる。

とりあえず、バスも行ってしまうので、私は行き先がある振りをしなければいけなかった。

"Hey! Don't touch me!" 

と、からかいながら付きまとう。

行き先の宛ての無い私は、とりあえずバスターミナルの端にある観光案内所的な場所へ歩いた。

何台かのタクシーと、灯りと人影が見えた。

その案内所へ着いた瞬間に
「何処に行くんだ?ホテルは決まってるか?」
とビジネストークが始まる。

ガイドブックを持っていれば、適当な値段のゲストハウスを調べて、予約していると言えば済むのだが。
何も持っていなかった私は知ったかぶりも出来ない。


全く知らない土地で、夜中にタクシーに乗っては行けない。

あり得ないボッタクリの宿に連れて行かれるだけなら良い。それ以上の犯罪もあり得る。

と思った私は、咄嗟に「デリーに行きたいから行き方を教えて」と頼んだ。

呆気なくデリー行きのバス停を教えてくれた。 
巨大なバスターミナルの建物、実は24時間空いていて、中で待っていれば良いようだ。 助かった。

全く寝ずに、前日の早朝から山中を痴漢と戦いながら移動している私はクタクタだった。この避暑地で、布団に包まれて横になりたかった。

しかし私は、呆気なく暖かいベッドを諦めてバス乗り場に向かった。

痴漢男は相変わらず付きまとって、何かを言っている。

建物内は予想外に人で溢れていた。
建物内のチャイ屋で、不味いスナックとチャイを頼んで飲みだした数十分後、痴漢男は諦めて退散したようだ。
あんな無理強いで、本気で口説こうとしていたのか?それとも、やっぱり1人になった瞬間に襲おうとしていたのかは分からない。 だけど、それで何とかなると思われている日本人女性である事が歯がゆい。


デリー行きのバスは7時半
現在3時過ぎ。

身体はクタクタ。

私はデリー行きの乗り場の前にヨガマットを引いて、全身を安物のブランケットとストールで覆って寝ることにした。カバンは青いバックパック。誰も私を日本人女性だと気付けないハズ。

実際に誰にも関心を示されなかった。

そして、直ぐに訪れた睡魔に身を任せた。

途中で手持ちカバンを探られる気配を感じ、冷や汗と共に目が覚めた。

なんと、目の前には大きくて美しい猿が座っていて、私のカバンの中の食べ物を見つけたようだ。 
どうせ残り物で、私は食べれなかったのだから有り難い。 

目覚めた私に気付き、一瞬、猿が威嚇して来る。

すぐに、私に全く殺気が無いことが分かると、全く気にせずに食事を続けた。

子猿も一緒だった。

建物の中に、犬だけじゃなくて猿までいるとは。
私の横で猿が呑気に食事をしていると思うと、突然幸せになって、もう一度眠りに落ちた。

その後、猿以外に私に関心を示す人間はいなかった。

どこから見ても私は、サドゥくらいにしか見えなかったのだろう。