早朝のバスに乗り込んでレコンピールを離れました。目的地はスピーティのカザです。
バス到着と共にダッシュで乗り込めば何とかなると思ったのが間違えでした。すでに満席。
20分ほど山を登ったところにあるバスターミナルで一時間前から席を予約出来る事は確認済みだったのですが、大き過ぎる荷物と共に山を登るのは無理だろうと諦めていたのです。
インドで1番、もしかしたら世界一危険なのではないかと言われる道を行くバスの旅、まさか立ち乗りになるなんて想像外でした。
乗って1分で車酔い。まだ道は平たいのですが、なんせ強度の車酔い持ち。慌てて酔い止めを飲みます。
出発して10分、さらに沢山の人が乗り込んでくる。満員電車状態です。さらに10分後には、完全にアスファルトがなくなります。
断崖絶壁。左は聳え立つ岩山、右手は崖、そして、道には山から落石してきた大きな岩が、そこら中に転がっています。こんなの食らったら一撃で即死です。
道はさらに過酷になります。当然、車酔いも最高潮に近づき、嘔吐用バックを握る手に汗が滲みます。
9時半頃、朝食休憩。
バスから降りると途端に元気になってパラータ(具入りのナンみたいな)を食べます。美味しい。あまりに過酷なので酔い止めを一錠追加で服用。
元気を取り戻して立ち乗りバスに戻ります。
両手で吊り革を掴んで必死で立つのですが。
今度は薬が効き過ぎて睡魔が。
立ちながら、揺れながら、寝てしまう。どんなに険しい道でも起きていられない。何故か立つスペースも狭くなって足を閉じなくてはいけなくなる。なぜだと思ったら、チベット人のお年寄り2人が地面に座り込んでいる。小さ過ぎて気が付かなかった。が、足の置き場もままならない状態で、自然に寝てしまうのはツライ。うとうとして、突然倒れそうになって起きる。を繰り返しました。
管理地区に入る時には、軍による許可証のチェックが有るのですが。当然、陶酔状態。よく捕まらなかったと思います。
2度目の検問を通る時には、本当に起きれなくて。何度か起こされて、目が開かないままインタビュー。目は閉じていても、英語は出てきて助かった。後で聞くと、完全にキマったジャンキー状態だったらしいです。
素晴らしいナコーと呼ばれる集落を見て、写真撮りたいと思いながらも3秒後には目が閉じてしまう。
何故か、道路が壊れて通れない時だけシャキッと起き上がってシャッターを切る。
無駄なジャーナリスト精神だけが働きました。
バスの添乗員さんは、シャベルカーも誘導出来るのです。なんなら、バスの運転手さんも手伝います。
道が塞がっていて当たり前。そんなインド、好きです。