パズル 20 | chihiroの気まぐれブログ・これからも嵐と共に

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2021年1月。嵐さんの休業を機に、妄想小説を書き始めました。
主役は智くんで、メンバーも誰かしら登場します。ラブ系は苦手なので書けませんが、興味のある方はお立ち寄りください。

 

 

 

その後、潤のおじさんの紹介で弁護士と会い、カメが雅紀に会いに行った時の事を話して

うちの親父が借金をしていたと言う話もしてくれた。

 

その話を元に弁護士が動いてくれて1か月後、俺は潤のおじさんの家に呼ばれて出かけた。

出来れば今回は翔も同席させたいと思ったけど、どうやら翔も忙しいみたいで

休日も出勤だと言う。仕方ないので俺だけで行く。

 

 

会って早々無駄話もなしにおじさんが話し出す。

 

「だいたいわかったみたいだよ」

 

そう言ってから弁護士に代わる。

 

「まずこの借用書だけどお父さんの字や実印は本物だった」

 

「え、それじゃあ…」

 

「だけど金額が違う。50万円ではなくて5万円だった」

 

「0を足したって事だな。立派な偽証だよ。

 だから5万円さえ払えば雅紀くんは自由になる」

 

5万円なら払えない事はないけど、でもいったい何のお金だったのだろう。

 

「5万円の借金の詳細はわかりませんか?」

 

「わかってはいるけど、そこまで話す必要はないだろう」

 

「どうしてですか?例え5万でも大金です。何の為に借りたのか知る権利はあります」

 

「誰かを傷つけても?」

 

「え……どういう事ですか?」

 

「言葉の通りだよ。知らない方が良い事だってある。

 君は雅紀くんが今の生活から抜け出せれば良いんだろう」

 

「そうですけど……」

 

 

するとおじさんが「潤」と呼んだら、潤が雅紀と一緒に入ってきた。

 

「雅紀」

 

何も言わずに黙って俺を見ている。

 

「5万円は立て替えておいた。当分はうちで預かる。

 来年に寮のある高校へ入学させる。1年生からになるけどね。

 それで良いんだよな」

 

おじさんが雅紀の方を向いて確かめる。

 

「ありがとうございます」

 

おじさんにはお礼をいうけど、俺には相変わらず何も言わない。

恨んでるならそれでも良い。とにかく、あの家を出られただけでも良かった。

 

なんとなく雅紀の顔を見ていられなくて、

 

「それでは俺はこれから仕事があるのでよろしくお願いします」

 

そう言って出てきた。

 

玄関まで付いて来た潤に、

 

「雅紀のこと頼むな」

 

「うん……」

 

 

何か言いたそうにしていたけど出てきた。

 

もしかしたら5万円の行方を潤は知っているのかもしれない。

 

まあ、とりあえず雅紀が無事で良かった。

高校も1年遅れでも無事に入れれば問題ない。

 

さて、ここまで話が進んだのに、翔を置いてきぼりには出来ないな。

一応、経緯は知らせてあるし既読もついているようなので状況はわかっているだろう。

 

「雅紀は当分潤と一緒に預かって貰う事になった。来年、高校を受験する。

 勝手に進めてゴメン」

 

「わかった」

 

漸くこれだけが戻って来た。

 

何だか変だなぁ。いつもの翔とは違う。

 

「翔、具合が悪いの?」

 

「違う」

 

「じゃあ何かあった?」

 

これは既読スルーになった。

 

 

やっぱり何かあったんだな。

仕事の関係かな。だとしたら俺は口出しできない。

新入社員だからな。

 

 

 

それから数日後、美容院でバイトをしていたら、

 

「大野さん指名です」

 

「え?でも予約入ってるよ」

 

「予約はしてないけど出来ればと言うお客様の注文です。

 ここは私が代わります」

 

 

そう言われたので受付へ行ったら雅紀が立っていた。

 

「やってくれる?」

 

ぶっきらぼうに言っているけど、この間とは少し違う。

 

「お待たせしました。どうぞ」

 

席に案内する。どうやらカットだけではなさそうだな。

 

「どうなさいますか?」

 

「潤が来た時も敬語だったの?なんだか変」

 

そう言って漸く笑顔を見せた。

 

 

良かった~。まだまだ昔の雅紀とは違うけど笑ってくれた。

それだけで今は十分だ。