パズル 18 | chihiroの気まぐれブログ・これからも嵐と共に

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2021年1月。嵐さんの休業を機に、妄想小説を書き始めました。
主役は智くんで、メンバーも誰かしら登場します。ラブ系は苦手なので書けませんが、興味のある方はお立ち寄りください。

 

 

 

数日後、カメから連絡が来て静かな所で会いたいと言われたので、

俺の休みの日に家に来てもらった。

 

「この間はゴメンね」

 

俺の方から真っ先に謝る。

 

「ううん。俺の方こそ連絡が遅くなって……。」

 

そう言いながら俺が出したコーヒーを一口飲んでため息をつく。

 

「雅紀はどうしてあの家に預けたの?」

 

「言い訳になるけどどうしても下の二人を優先したら、あの家しかなかった。

 後は子供と一緒に住んでいる人ぐらいしかなくて、他人の子供の中で苦労するなら

 あの家の方が良いだろうと思ったんだ。それと雅紀は高校から寮生活をすると言っていたから

 そんなに長い期間ではないと思ったんだ。まさか落ちるとは思わなかったから」

 

「雅紀は高校を落ちてはいないよ。というより、そもそも受援さえしていない」

 

「だけど家庭教師を付けて貰ったって書いてあった。あれはウソ?」

 

「嘘ではないらしい。近所の大学生に勉強を教えて貰っていたのは本当だよ。

 だけど受験は諦めている」

 

「どうして?」

 

「あの家は子供が欲しかった訳ではない。働き手が欲しかったんだよ」

 

「働き手?」

 

「あそこは食堂をやっている。実は俺達も手伝わされたんだよ。

 そうしないと雅紀と会わせてくれないと言うから。

 結構繁盛している。従業員もいるけどそれでは足りなかったんだろう。

 無償で働いてくれる子が欲しかった。それが雅紀だよ。

 あんまり小さいと働き手にならない。その点、雅紀は年齢的にもちょうど良かった。

 だから高校へも行かせずにあそこで働かせている」

 

 

初めて聞く話だ。そもそもおじさんの仕事も事前に調べた結果は会社員だと言う事だった。

 

 

 

「言い方は悪いかも知れないけど、雅紀は人質のようなものだな」

 

「なんで?別にこっちに弱味はないよ」

 

 

 

カメが少し言いよどんでいたけど俺が促したら話してくれた。

 

 

「智たちのお父さん、あの家から借金をしていたらしい」

 

「え?」

 

「これが証拠」

 

 

そう言ってスマホを見せる。そこにはスマホで撮って来た借金の証明書が写っていた。

ちゃんと父の名前と印鑑も押されている。

 

 

何も知らなかったとはいえ、俺達は最悪の所に雅紀を預けた事になる。

 

借金の方は弁護士を通じて調べてもらうしかない。

そっちは翔に頼もう。

 

もしまだ残額が可なりあるなら、俺達で手分けして返して行こう。

その代わりに雅紀には寮のある学校に通わせて貰うように頼む。

そっちの学費は奨学金でも利用できればそれが良い。

 

俺もこれ以上バイトは増やせないし、翔の会社は副業は禁止だ。

 

 

そんな事をあれこれ考えていたらカメがテーブルに封筒を置いた。

 

「わずかだけど使って」

 

「ダメだよ、こんなの。第一どうしたんだよ、こんなお金」

 

「親父に簡単に事情を話して借りた。おじさんの事は知っているからね」

 

「余計にダメだよ。使えないよ」

 

「無理して智くんや翔くんが倒れたらどうするの?

 それこそ3人の弟が心配するよ」

 

「だけど……」

 

「斗真の親父さんにも頼んでみる」

 

「カメ、やめて。これ以上、二人を巻き込むことは出来ない。

 今回行かせたことだって後悔していたんだ。もう関わらないでくれ」

 

「それは無理だよ。この目で雅紀の働いている姿を見て来たんだよ。

 無視できると思う?それにあげるんじゃないよ。いつか返してくれれば良いから」

 

 

カメの気持ちに涙が零れてきた。

 

「それと潤を預かっているおじさん達だけは信用できるよ。

 潤を預けている以上無理は言えないだろうけど、相談してみても良いと思う」

 

「カメ」

 

「ごめん。ちょっと口出しし過ぎたな。でも周りに頼ることも必要だよ。

 特に親の借金を子供が払うなんて元来おかしなことだと俺は思うから」

 

「うん。ありがとう」

 

 

その辺は翔とじっくり相談してみよう。