2025年9月14日 くるまのニュース
要注意! 炎天下の車内は50度近くまで上昇する危険も
岐阜県警は先日、エンジンを切った炎天下の車内に飼い犬のダックスフント1匹を約4時間放置したとして、岐阜県養老町に住む50代の飼い主の男性を動物愛護法違反(虐待)の疑いで書類送検しました。
炎天下の車内にペットを放置するのはNG!(画像はイメージ、おでか犬/PIXTA)(くるまのニュース)
炎天下の車内にペットや子どもを放置することは、死亡につながる可能性のある危険な行為です。一体どのような状況だったのでしょうか。
この事案は今年7月20日の午後0時40分ごろから同日の午後4時50分ごろまで、岐阜県大垣市内のショッピングモールの駐車場において、エンジンを切ったクルマの中に飼い犬を放置したというものです。
警察によると、付近を通りかかった人が車内でぐったりしている犬に気づき110番通報し、事件が発覚しました。この日の大垣市の最高気温は33度であり、車内はより高温になっていたものとみられます。なお犬は衰弱していたものの、その後病院で治療を受け、命に別状はないということです。
書類送検された男性は「これまでも犬を放置したままにすることがあったので大丈夫だと思った」などと話し、容疑を認めています。
動物愛護法では愛護動物に暴行を加えたり、えさや水を与えずに酷使し衰弱させたりといった虐待行為をおこなった者を「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処する」と規定しています。
また当然ながら愛護動物を殺したり傷付けたりする行為や、遺棄する行為も動物愛護法違反にあたるれっきとした犯罪です。
さらに書類送検された男性は自宅で計3匹の犬を飼っており、他の2匹を自治体に登録していなかったほか、3匹とも狂犬病の予防接種をしていませんでした。そのため、県警は男性を狂犬病予防法違反の疑いでも書類送検しています。
実は狂犬病予防法により、犬の所有者は自治体で飼い犬登録をすること、毎年1回狂犬病の予防注射を犬に受けさせること、鑑札および注射済票を犬に着けておくことが義務付けられています。
今回のニュースに対してはインターネット上で「自分が灼熱の車内に4時間いたらどうなるか実際にやってみるがいい」「エンジンを切り、クーラーなしなんて本当に酷い飼い主だ」「この人に動物を飼う資格はない」など、飼い主に対する怒りの声が多く寄せられています。
JAFが2023年8月におこなった真夏の車内温度に関するユーザーテストによると、外の最高気温34度に対して車内温度は48度、ダッシュボードにいたっては57.8度まで上昇するという結果が出ています。
加えて、同ユーザーテストでは熱中症の危険についても検証されており、実験開始後わずか3分で暑さ指数が「注意レベル」、10分後に「警戒レベル」、21分後に「厳重警戒レベル」、41分後に「危険レベル」に達しました。
犬は人間と異なり、汗をかいての体温調節ができないため暑さに弱く、人間よりも熱中症になりやすい動物といわれています。普段は口を開けて舌を出し、浅く早く呼吸をすることで熱を逃していますが、体温が42~43度に上昇した状態が数時間続くと死亡するおそれが高まります。
炎天下の車内で約4時間も放置することが犬にとっていかに酷な行為であるかが分かるといえるでしょう。
そのほかインターネット上では「クルマの窓を開けただけで、犬を残して買い物に行っている人を見かける」といった目撃情報のほか、「動物への虐待をもっと厳罰化してほしい」「外国と同じように飼うこと自体を厳しくした方が良い」など、法令の改正を求める意見が聞かれました。
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エアコンを切った車内はより高温になりやすく、車内に子どもやペットなどを残すことは命の危険につながります。
たとえ放置するつもりがなくても、クルマの鍵が車内に残った状態で子どもやペットが誤って鍵をロックし閉じ込められてしまう「キー閉じ込み」が起きるケースもあるため、ドライバーが鍵を肌身離さず持っておくことが大切です。