2025年6月19日 Newsweek
<周囲からの注意勧告も届かず。接触すれば命を落とす危険すらある大型動物の至近距離に幼児の姿が...>
「こんな愚かな行為を目撃するとはまさか思いもしなかった。撮影を始める前に私たちを含めて全員が、引き返しなさいと声をかけた。パークレンジャーに電話する人もいた。野生生物に近づいてはいけないという注意書きは、公園の至る所に掲示されている」
彼女が使ったハッシュタグ「#touronsofyellowstone」の「Touron」は、「tourist(観光客)」と「moron(愚か者)」を組み合わせた造語で、危険を冒してまで完璧な写真を撮ろうとする観光客を意味する。
<「唾がかかるほど近い距離」>
ガンダーソンによると、親子連れはバイソンに「唾がかかるほど近い距離」にいたという。英インディペンデント紙は「衝撃的」な出来事として伝え、ガンダーソンは同紙に次のようにコメントしている。
「野生生物のあんなに近くまで、しかも小さな子供を連れて近寄るなんて衝撃だった」
ガンダーソンと彼女の夫は経験豊富なハンターで、大型野生動物との安全な距離を保つことがどれほど重要かを理解している。バイソンの行動は予測不能で、いきなり突進してくることもある。
アメリカ国立公園局(NPS)のガイドラインによると、観光客はバイソンから25ヤード(23メートル)以上離れる必要がある。これに違反すれば、バイソンに襲われて命を落とす危険があるだけでなく、重い法的責任を問われる可能性もある。
今回けが人はいなかったものの、AP通信によれば、数日前にイエローストーン国立公園で団体客がバイソンに近寄り、男性が角で突かれて負傷したという。
同公園によると、ニュージャージー州から来たこの男性(30)は軽傷を負ってその場で手当てを受けた。男性の氏名や状態は公表されておらず、捜査は今も続いている。
5月にはレイク・ビレッジ(Lake Village)の近くで、フロリダ州ケープコーラル(Cape Coral)から来た男性(47)が同様に負傷した。
<「証拠が必要になった場合に備えて撮影」>
2024年には少なくとも2人が同公園でバイソンに襲われ、サウスカロライナ州の女性(83)が重傷を負った。また、2023年にはアリゾナ州の女性が角で突かれて襲われた。
ガンダーソンは、小さな子を連れてバイソンの方に歩いていく何人かの大人に向かって叫ぶ声を聞いたと語り、「私たちもみんなと一緒に叫んだけれど、親子連れは誰も応えないままどんどん(バイソンに)近づいていった。隣の人たちが公園局に電話していたので、私は万が一証拠が必要になった場合に備えて撮影を始めた」とインディペンデント紙に証言した。
(翻訳:鈴木聖子)