2025年4月19日 読売新聞オンライン
全国の動物愛護センターや保健所に引き取られ、2023年度に殺処分された犬と猫は9017匹で、初めて1万匹を下回ったことが環境省のまとめで分かった。1974年度には約122万匹だったが、動物愛護管理法の改正や保護団体の努力で減少傾向にある。
環境省が、都道府県などから報告を受けて集計した。2023年度に殺処分された犬は2118匹、猫は6899匹で、センターなどに引き取られた犬猫4万4576匹のうち2割だった。残りの8割は新たな飼い主に譲渡されたり、元の飼い主に返還されたりした。
減少の背景には保護犬や保護猫として新たな飼い主に譲渡する機運の高まりや、自治体と保護団体との連携強化がある。法改正で、自治体が飼い主やペット業者による安易な引き取り要請を拒否できるようになったほか、置き去りにする「遺棄」に対する罰則も強化された。
環境省(読売新聞)
一方、飼い主の管理能力を超えてしまう「多頭飼育崩壊」が問題になっている。23年度の殺処分数が最多だった福島県(885匹)では、高齢者が亡くなるなどして多数の猫がセンターに引き取られたが、しつけを受けておらず攻撃的とか、病気で回復の見込みがないなどの理由で譲渡できない事例が相次いだ。担当者は「福祉部門と連携し、多頭飼育の状況把握や見守りを強化したい」としている。
日本動物福祉協会の町屋奈(ない)・獣医師調査員は「殺処分数が減ったのは良いことだが、行政が引き取りを拒否して動物愛護団体に過度な負担がかかるとか、引き取り手が見つからない犬猫の施設内での保管の長期化など、統計に表れない課題は多い。さらなる対策が必要だ」と指摘している。