2000匹以上を譲渡 保護猫カフェ代表が飼いたい人に問うこと | トピックス

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2023年11月19日 毎日新聞

 

 

 「子供の頃から猫がめちゃくちゃ大好き。自宅ではいつも猫を飼っていて、多いときは7~8匹いた」

 

 こう話すのは、保護猫カフェを運営する「ネコリパブリック」代表、河瀬麻花さん(49)。

 

 岐阜県大垣市で大正時代から製パン会社を営む家に次女として生まれた。パンの原料の小麦粉をネズミの食害から守るために猫を飼っていた。そんな環境で育ったせいで、無類の猫好きになったのは自然な流れだった。

 

 大学入学後はアルバイトをしてお金をため、長期休みには海外に行く生活を送った。「視野を広く持って生きよう」との思いからで、卒業後もしばらくバックパッカー生活にはまり続けた。欧州や中東、インド、東南アジアなど世界中を巡った。旅費を稼ぐために会社員として短期間働いては、また海外に飛び出した。

 

 2011年に発生した東日本大震災が、河瀬さんの人生の大きな転機となる。東京電力福島第1原発事故で被災地に残された猫や犬を救出するボランティア団体の存在を知った。自分にできることを考えた末、実家の製パン会社で製造したベーグルを売ったお金を団体に寄付した。

 

 14年2月、ネコリパブリックを創業した。猫カフェの料金やグッズ販売の売上金で運営する仕組みにした。「ボランティアではなく、ビジネスとして成立させることで保護猫活動を継続できる」と考えた。

 

 カフェ運営に加え、保護猫との触れ合いの場を全国各地で提供している。来場者が気に入った保護猫がいたら里親にもなれる。その際、「本当に猫を最後まで飼う覚悟があるかどうかを確かめる」ため、里親希望者と面接している。

 

 まず、希望者にカフェに来てもらう。面接では、一生面倒を見られる環境にあるか▽家族の同意があるか▽住居はペット飼育可か――などを尋ねる。これらの条件を満たした人に里親になってもらう。これまでにネコリパブリックが関わって里親に譲渡された保護猫は2000匹以上になる。

 

 野良猫を一旦保護して、避妊・去勢手術して元の場所に戻す活動にも取り組む。不妊手術には多くの自治体で補助金を出しており、野良猫であれば手術費用を安くする専門の動物病院もある。猫を大事にする考え方が広まっていることに喜びを感じている。

 

 面接などで里親候補者を審査するのは、保護猫を飼うことの責任を感じてから飼ってもらうためだ。「ペットショップで売っている猫ではなく、保護猫を飼うことを誇りに思ってほしい」と訴える。【太田圭介】

 

河瀬麻花(かわせ・あさか)さん

 明治学院大文学部卒。ネコリパブリック代表として、保護猫カフェや食堂、ブランドショップなどを全国10店舗で展開する。日本の猫の殺処分数をゼロにすることを目指し、猫カフェで保護猫の里親を探しつつ、猫と人との新たな生活様式を提案する。岐阜県大垣市生まれ。