2023年7月15日 上毛新聞
ペットになる犬や猫にマイクロチップを埋め込んで販売することを義務付ける改正動物愛護法が施行された昨年6月以降、群馬県内でチップの情報から少なくとも37匹の迷い犬が飼い主に引き渡されたことが、県動物愛護センターなどへの取材で分かった。ただ、チップを取り付けていても所有者の情報が正しく登録されていない例などもあり、同センターは「購入したり、譲り受けたりしたら忘れずに情報を更新してほしい」と呼びかけている。
同センターと前橋市保健所、高崎市動物愛護センターによると、昨年6月から今年5月までの1年間で、収容された犬は計524匹いた。このうちチップが装着されていたのは計48匹だった。
飼い主は購入や譲渡から30日以内に、氏名や住所、連絡先を登録する義務を負う。しかし、チップを装着していても未登録だったり、古い情報のまま更新されていなかったりする例がある。48匹のうち、正しい情報を読み取ることができ、飼い主にたどり着いたのは31匹だった。
県警に届けられた迷い犬で、チップの情報から所有者が判明したのは6匹。これ以外にも、保護現場でチップを読み取り、施設に収容せずに返還できたケースも複数あったという。
同センターによると、県が昨年度に殺処分した犬猫は356匹だった。チップの装着は飼い主を探しやすくして殺処分を減らすほか、無責任な遺棄を思いとどまらせる効果も期待されている。
同法では、繁殖・販売業者にチップの取り付けを課した一方、業者以外から手に入れた場合は取り付けが努力義務にとどまる。
体に異物を埋め込むことで、健康への影響を心配する飼い主もいる。同センターの担当者は、首輪に連絡先を記したり、鑑札を付けたりすることも有効だとした上で、「注射で取り付けられるため、手術のような負担もない。チップの装着を検討してほしい」としている。