2023年2月14日 時事通信ニュース
【ニューデリー時事】インド政府の関連団体が14日を牛を抱きしめる日として祝おうと呼び掛けたところ、批判や冷やかしが殺到し、撤回を余儀なくされた。インドで多数派を占めるヒンズー教徒は牛を神聖視している。カップルが愛を確かめ合う欧米のバレンタインデーに対抗し、インドの伝統文化をアピールする狙いだったが、もくろみが外れたようだ。
政府の諮問機関・インド動物福祉委員会は6日に公表した文書で、インドの伝統は「西洋文化の流入により消滅寸前」と指摘。
「牛はインド文化の支柱であり、牛を抱きしめることは感情的な豊かさをもたらし、幸福度を高める」として、14日を「牛ハグデー」にしようと訴えた。
しかし、呼び掛けに対しインターネット上では「ジョークかと思った」「それより道路を歩き回る牛の生活環境に配慮すべきだ」といった批判が噴出。ヒンズー至上主義を掲げる与党インド人民党(BJP)所属の議員が牛に近づこうとして蹴られる映像や、悪ふざけの動画も拡散した。同委は10日、所管官庁などからの指示を理由に撤回した。