2022年9月24日 現代ビジネス
全国から批判の声が……
鹿児島県内の動物保護団体提供
「現在問題になっているのが同団体のシェルター。犬たちは満足に食事も与えられず、散歩もされず一日中、狭いクレート(移動用のおり)の中に閉じ込められたまま。身動きも取れずに衰弱していっています」
Sの悲惨な実情を訴え続けているのは、同県で動物保護団体を運営する鈴木恵美子さん(仮名)。
「代表者のH氏はこれまで、SNS上に皮膚病で毛が抜けたり、怪我をしているかわいそうな犬や、動物愛護センターから引き出して殺処分を免れた犬の写真を投稿して、動物愛護に関心がある人たちから寄付を募ったり、預かり先をあっせんしていました」(鈴木さん)
それだけ聞くと「いいことをしているのでは」と思うのだが、そこには裏があり、「何も知らない人々はうっかり騙されてしまう」と鈴木さんはいう。
「まず、NPOの非営利活動『法人』に似た、非営利活動『団体』を騙って活動しています。そのため多くの人がNPOだと誤解し、ちゃんと認可された団体だと勘違いしています。届けを出してきちんと活動しているように見せかけていますが、そうではありません。
それに、適切に動物たちを保護しているかどうかは、SNSへの投稿だけではわかりません。H氏の投稿を鵜呑みにしている人たちはそれを信じて支援してしまう。ところが、そのお金は犬たちには使われておらず、”支援金詐欺”ではないかと考えています」
H氏の活動に疑問を持ち、これまで活動に注意を呼び掛けてきた鈴木さんは、まずSとボランティアとのトラブルについて明かす。
協力を申し出た人々の善意頼りの実態
「H氏は全国各地の動物愛護センターから殺処分をされそうな犬を引き出し、動物のために何かしたい、とコンタクトを取ってきた人たちを『預かりボランティア』と称して犬を押し付けていました」(同)
複数の関係者によると、犬の預かりは里親が見つかるまでの期間。エサ代やペットシーツ代などかかった費用は、団体が負担すると説明を受けていたという。
「費用は『預かりボランティア』が立て替え、支援金が集まったら渡すとH氏は言っていたそうです。しかし、いつまでたっても1円も振り込まれず、結果的にすべて自己負担。『せっかく助かった命だし、里親が見つかるまでの短期間なら』と協力した人々の善意を利用していました。その被害を受けた人たちは後を絶ちませんでした」
動物のあっせんの仕方もずさんだった。「小型犬なら」と希望したのに、中型犬を連れてこられたり、20頭以上も預けさせられた家庭もあったという。
「多頭飼い崩壊になりかけたケースや、H氏がいつまでたっても里親を見つけてくれないので、やがて情が移り、引き取った人もいました。『金銭的に厳しくなり、援助してくれないか』と相談すると『甘えだ』と一蹴されたため、やむなく、ほかの団体に引き取ってもらった人もいたそうです」
全国から多額の善意が集まっていたはずだが、ボランティアらに支払われたことはない、という。そのため、動物たちのためではなく、H氏の生活費などに使われていたのでは、と関係者らは推測する。
そうした中、鈴木さんは関係者からH氏の信じられない発言を聞いたと明かす。
「動物愛護センターにはブリーダー崩壊によって収容されている血統書のついた犬もいて、そうした子たちは犬種がわかる。ペットショップだと数十万円する人気の犬種もH氏のところだと数万円で譲ってもらえる。でも、雑種で引き取り手が付かなかったり、売れなかった子を『山に捨ててこい』と言われた人たちもいたんです」
そのうちに動物がお金になることに気が付いたH氏は、SNSで知り合った支援者がいる鹿児島県に大規模シェルターを作ることを決めた。シェルターがあればもっと多くの犬を収容でき、その分寄付も多く集まると考えたからだ、と関係者は明かす。
ところがこのシェルターは動物愛護の精神とはかけ離れた、悲惨な場所だっただ……。
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自称・動物愛護団体『S』が運営する動物保護施設の実態とは……。後編記事『灼熱のプレハブ内で、泡を吹いて命を落とした犬も…保護シェルターで飼い殺される犬・猫たちの「悲惨すぎる実態」』で引き続き紹介する。
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